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「家族と育つ家」子育てと間取り2⃣

石本(kicoriスタッフ) 石本(kicoriスタッフ)

Contents

    お子さんのおられるご家族の間取りを考えるとき、私は今まで教えてきた小学1年生から高校3年生までの子どもたちと、2歳と1歳のわが子たちのことを想像します。

    この間取りで子どもたちはどんな風に生活し、どんな風に動き、どこに触れ、どんな風に使い、成長していくかな…と考えていくのです。

    そんな子どもたちの育ちも思いながら間取りの意味を読み解くと…第二回です。

    ③キッチンから見えること/キッチンが見えること

    私の家の場合はキッチンの前に勉強や読書、ちょっとしたパソコン作業のできるカウンターデスクがあり、その向こうの和室を子どもたちの遊び場にしています。

    ごはんの支度をしながら和室がすとんと見通せるので「見て見て!」の時期の2歳の長女も見られている安心感があるのか、落ち着いて遊んでいることが多いように感じます。

    たくさんの子どもたちを見てきたなかで、子どもたちは褒められて(認められて)伸びていくことが本当に多いと感じます。その褒め方にも少しコツがあります。大人は「すごいね」「上手だね」とついつい口癖のように言ってしまいます。私もそうです。でも、せっかく褒めるならもう少し子どもの育ちに響くような褒め方をしたいですよね。

    子どもの自主性が育つと言われるモンテッソーリ教育では、子どもたちの育ちには関わる大人のまなざしを変えていくことが重要だとされます。大人は結果を重視するのに対し、子どもはその過程を味わっているということを知る。 ということです。「絵を描く」ということひとつをとっても、大人はできたものを見て「うまく描けたね」「きれいだね」と成果物を価値づけていきますが、子どもはキョトンとしていたりもう他の遊びに取りかかっていたり…ということがあります。子どもたちはその絵を描いている瞬間(紙を触る。すべすべ。ペンをぐっと握り、見る。見る。力を込めて紙にぐぐぐっと線をひいていく。てんてんてんをうつ…)を深く味わっているので、描き終わったときにはすでにもうその絵は過去のものになっているからです。

    そのため、褒めるときには「その場で」「具体的に」できたことの成果よりも「過程を」褒めることが重要です。

    幼児期にはひとり遊びをしていても、「見てくれている」「近くにいる」という感覚が子どもを丸ごと認めているということになり、安心感を生み、集中して遊べる力につながります。(子どもが集中して遊んでいるときは話しかけたりせず、そっと見守るのも集中力を育むためには大切です。)そして子どもたちが「見て見てー!」と言ったそのときに「すごい」と評価をするのではなく、事実を認めます。「ながーーーいね!」と驚き、「よく見せてー」と興味を示し、「これなぁに?どうやってつくったの?」と聞いてみる。答えてくれたら「へぇ~考えたね~」と伝えます。そして「うん!これはね…」と本人が話しはじめると「うんうん。」と家事をしながらでも耳と心を傾けて聴く。

    小学生になると、キッチンから見えるところで宿題をさせ、できるとすぐに見てあげる。(最近は〇つけまで宿題の学校も多いですよね)その場で認めてもらえることによって、「ちょっと待ってね!」(私もつい言ってしまいます…)「後で見るから置いといて!」と伝えるよりずっと子どものやる気を育てることができます。

    「今」を生きている子どものペースに大人が寄り添う。毎日は難しくても、1週間のうちの1日か2日か…少しでもそんな時間をとってあげられるといいなと思います。大人は「子どもは夜は早く寝るべき」「夕食は〇時にバランスのとれたものを食べるべき」「こうあるべき」という価値観に凝り固まっていますが、たまに子どものペースに合わせて生活してみることで少し楽になることもあるなぁと感じています。

    そして、人はひとりきりで学ぶよりも人とコミュニケーションを取りながら学ぶことのほうがずっと残りやすいと言われています。ずっと聞くだけ/読むだけの学びをしているよりも、学んだことを人に教えたり話をしたりしてみると身についていくという体験をされた方は少なくないはずです。子どもたちが料理をしている親に質問し会話しながら、ときには少し脱線しつつ学ぶことは、ただの知識にとどまらず広い興味を持って主体的に学ぶ力を育てていくと思います。

    教員をしていたときに保護者さんから「宿題を『教えて教えて!』と子どもが甘えてくるので困る。」というご相談を受けることが多かったのですが、甘えさせてあげてよいと私は思います。わかることなら教えてあげて、わからなければ一緒に考え、一緒に調べて…としている間に、いつの間にか子どものほうから自然に離れていく時代がきっとやってきます。大切なのは親がその課題に取り組む姿勢を見せているということ。子どもたちはよく見ています。大好きな大人のあり方まるごとを本当によく見ています。そしてそんな大人の姿を自分の世界に取り込もうと模倣をすることで成長し自立していきます。私はその日までできるかぎり生きていることの楽しさを伝えてあげたいし、一緒に笑って一緒に学んでいたいと思っています。夕方の家事の時間の多くを占めるキッチンを子どもの姿が見える場所にしておきたいなと思う理由です。

    さて、わがやのキッチンの話に戻りますね。わが家にはいやいや期の2歳児といたずら盛りの1歳児がいるのですが、キッチンをベビーゲート等で塞ぐことはしませんでした。安全が確保されることが最優先なので、それを守ったうえで(引き出しなどは開かないようにし、家電は手の届かない高さのところに移動しました)ですが、子どもたちが興味のままに動くことと、過程を知ることを大事にしてあげたいと思ったからです。

    ハイハイやヨチヨチ歩きの時期の子どもたちは、自分の行きたいと思ったところに自由に行けるように。そして夕食時に突然料理の完成品がポンと出てくるのではなく、「何か焼いてる…この匂いはお魚?」「トントン何切ってるのー?」と何となくでも子どもたちが料理の過程を感じられるようにしたかったのです。特にお手伝いを促すことはしませんが、やりたいと言えばできる範囲で一緒に食材を触り、野菜クイズなど遊びながら一緒に料理をします。もちろん時間がないことも多く、できあいのものですますことも、子どもたちを寝かしてから支度することも、興味を持ったからと言って全力で応えてあげられない日もあります。それでも、そんな親の気配も含めて、身近で見せておきたいと思っています。

    飛行機に乗って世界旅行に出なくても、この家にいながら、子どもたちの生きる世界の面白さは見せてあげられると信じています。キッチンから子どもたちの姿が見えるとともに、キッチンを子どもたちに見せるということも大事にしたいと思っている理由です。

    ④収納の工夫、可動棚の意味

    kicoriの収納は可動棚をご提案することが多いです。それはもちろん、置かれたいものによって高さが変えられるという利便性からなのですが、その良さは育児にも活かすことができます。

    子どもがなんでも口に入れてしまう乳児のうちは、棚板を子どもの手の届かない高さにしておきます。少し成長してくるとあえて手の届く高さにし、「ここに〇〇ちゃんの物をしまおうね。」と伝えておくと、自分で自分の物を出したりしまったりするようになります。「自分でやりたい!」気持ちが溢れる、自立の第一歩の時期に環境を合わせていくのです。

    私の家では、子どもの靴下や帽子をまとめてシューズクロークの低い段に置いているのですが、2歳の長女は自分で出してきて用意をするようになりました。ここは褒めるチャンスですよね。ここぞとばかりに褒めちぎります。ついでに弟の靴下も持ってきてくれることもあり、そうなると「ありがとう!」まで言えます。

    子どもが自然に褒められ認められる、そんなしかけをお家の中に少し作っておくといいなぁと思います。また、可動棚なので、成長に合わせて使いやすい高さに変えていくこともできます。

    家の中に子どもが「自分でできること」を増やす。それによって子どもは認められる機会が増え、大人は楽になる。少しの工夫で良いことづくめです。これも大切な家事楽ポイントのひとつではないかなと思っています。

    今回は間取りの意味…というより子育てへの思いのほうが強くなってしまったかもしれません…。

    せっかくお家を建てられるなら、大人も子どももみんなが心地よく過ごせるお家になってほしいなと願っています。