2024年の9月は2060年並みの暑さだった!!
今年2024年は10月に入っても暖かい日が続くなど、異常な暑さでした。
この暑さはエルニーニョ現象と言う現象によるものだと説明されています。エルニーニョ現象は貿易風が通常の年よりも弱いことで発生する現象です。(この貿易風が弱まる原因については、まだハッキリ理由が分かっていません。)エルニーニョ現象が発生すると、その年の夏は暑くなります。
しかし、2024年は暦上の夏(6~8月)だけに限らず、9月や10月もとても暑くなりました。
このような暑さが来年以降も続くかどうかは分かりませんが、これから家を建てる皆さんは住宅ローンが残っているであろう2060年も見据えて、暑さ対策を考えた住宅とすることが重要という事を今年の夏をもって体感したのではないでしょうか?
2024年の9月は過去最高!
2024年の9月がどれだけ異常な暑さだったかを確認してみたいと思います。
こちらは気象庁から得た、大阪における9月の平均気温をデータが公開されている1883年から毎年プロットしたものです。2024年の気温は、明らかに異常に高い温度になっていることが分かります。
暑くなった原因はエルニーニョ現象によるものだという事は一理ありますが、これが過去から観測して最高となった理由とは言い難いです。つまり、温暖化による影響の可能性がかなり高いと言えそうです。
9月に続いて10月の平均気温も見ていきたいと思います。
ご覧の通り、10月も過去最高気温を記録しています。
つまり、この2か月の異様な暑さは、少なくともこの150年の間では誰も経験したことが無かった暑さだったのです。
2024年の暑さは2060年に匹敵する!?
地球温暖化の予測にはSSP(共有社会経済経路)と言うシナリオを利用して、今後の地球の気温がどうなっていくのかが予測されています。
このシナリオはいくつか用意されていて、例えばSSP1-2.6では、現在の省エネルギー化の努力が実り、気温は上昇するもののその上昇は約1.5~2℃程度に抑えられると言うシナリオです。
これとは別にSSP5-8.5は、エネルギー需要が従来のまま増加していった未来を予測するシナリオで、気温の上昇は4℃以上になるとされるシナリオです。こうなってしまえば、人間は温暖化を止めることは出来なくなり、温度上昇が止められなくなると言われています。
そして、これらのシナリオを利用して実際の大阪の気温が将来どのようになるのかを予測したシミュレーションがあります。ゼネコンの竹中工務店が開発したMet.Boxがそれにあたります。
この予想を利用して、2024年と比較をしたいと思います。
省エネの努力が実った2060年との比較
まずは、省エネルギー化の努力が実ったとされるSSP1-2.6のシナリオに基づいた結果と2024年を比較してみましょう。この予測における9月の平均温度は26.6℃なっています。2024年の9月の平均気温が28.6℃だったので、2024年の暑さは2060年の予測よりも高くなっていたことが分かります。
上のグラフでも、9月の初旬はそれほどでもないですが、2週目以降は殆ど2060年予測よりも高くなっています。
おそらく、この予測ではエルニーニョ現象が発生していない場合の予測だと考えられます。ですので、2060年前後でエルニーニョ現象が発生した場合は、予測温度ももっと高くなるでしょうが、それにしても今年の夏が、如何に暑かったかが見て取れます。
エネルギー需要が増大した場合の2060年との比較
こちらはエネルギーが増大してしまうシナリオです。出来るだけ避けたいシナリオになるのですが、この時の2060年9月の平均気温は28.1℃となっています。先ほども出てきましたが2024年の9月の平均気温は28.6℃です。どうしても避けなければならない未来の予測よりも高い温度になっていたことがここからも分かります。
一日の一時間毎の気温が36℃を超えることは無かったものの、温度が下がる日が極端に少なかったことがよく分かります。
10月における2060年と2024年の比較
続いて、9月だけでなく10月についても見ておきましょう。
SSP1-2.6では平均気温が21.3℃、SSP5-8.5では平均気温が22.5℃となっています。
そして2024年10月の実際の平均気温は22.1℃でした。
9月程ではありませんでしたが、10月も十分に2060年に匹敵する暑さだったことが確認出来ます。
この暑さの経験は家づくりに活かすべき
このように2024年の9月や10月は観測史上一番暑く、異常な年でした。その原因は通常の年とは異なるエルニーニョ現象が原因とされていますが、我々は未体験の暑さを経験したことになります。
この暑さは、たった30数年後には日常の暑さとなり得るのです。
今回経験した暑さは、未来に活かされるべきです。家づくりにあたってこれほどまでの暑さを前提に設計することは今までされてこなかったでしょう。しかし、家は30数年後であればまだまだ住み続ける可能性が高いことを踏まえれば、このような暑さになる日が来ることを前提に計画すべきです。
では、どのようにすれば良いのか?
これは次回以降にお伝えできればと思います。