あなたのお住まいに必要なUA値とは?
UA値とはなにか?
近年、家を建てるにあたってその重要度が増しているUA値。
家を検討するにあたって、UA値を意識されていますでしょうか?
家にはいくつかの重要な性能があります。
その中でも、最重要な項目は3つ。
耐震性能、防水性能、そして断熱性能
これらは、最終的には耐久性能に関わる重要な要素です。
そして耐震性能と断熱性能には目安となる基準があります。
耐震性能では、『耐震等級』と呼ばれるものが一つの目安となります。
断熱性能では、『UA値』が目安となるのです。
このUA値、単純には数字の低い方が、性能が良いことになります。
以前、この断熱性能はQ値と言うものが使われていましたが、より比較しやすいようにUA値というものが利用されることとなりました。
UA値の計算方法は、詳細にルールが決められています。
ただ、おおざっぱに言うと、
『家の外と中の温度差が1℃の時の、1秒間に家から出ていく、家全体から出ていく熱の量』
を計算します。
『これを家の表面積で割ったもの』
がUA値です。
非常にシンプルなものなのです。
UA値は兎に角低い方が良い?C値との関係やメリット・デメリット
UA値と光熱費との関係
UA値は、非常にシンプルです。単純に考えてUA値が低いとそれだけ暖房に必要な光熱費は下がっていきます。
ただし気をつけなければならないのは、暖冷房に掛かる費用は窓から入ってくる太陽からの熱の量によっても変わるので、本当の光熱費が知りたい場合はもっと詳細に計算する必要があります。
この計算のためには次のような様々な要素を検討に入れる必要があります。
暖冷房にかかる光熱費は生活スタイルにもよります。
例えば、家電などを多く利用する家では、それだけ暖房費は減り、冷房費がかかるようになります。家にいる人の数が増えても同じことが言えます。
更に、周辺の敷地や建物状況、風の量、C値、利用する換気扇の種類や能力によっても変わります。
北海道と沖縄では必要な暖冷房が違うと言うのはなんとなく想像がつきますが、周辺の気候条件によっても変わります。このため、家を建てる場所がどのような地域区分(気候条件を表す区分)なのかによっても変わります。
これらを全て加味して計算してやっと光熱費を計算によって求める事ができるのです。
なので、単純に家の断熱性能だけで光熱費が決まるわけではありません。
とは言うものの、UA値は光熱費に影響を与える最も大きな要因なので、UA値を低くすることで、光熱費も抑えることが可能なのです。
UA値の落とし穴、ランキングに意味はあるか?
近年では、UA値を単純比較したランキングなどを見かけます。
その建物がどれだけ断熱性能が良いのかを比較するのは分かりやすくて、消費者にとっては良いことのように思います。
しかし、ここには落とし穴もあるので注意が必要です。
UA値はシンプルな数字で表現されます。
それゆえに、その数字では表し切れないものも存在します。
それを知らずに単純な数字だけで比較しても意味は無いのです。
例えば、同じUA値であったとしても、その快適性は全くことなることがあります。
例えば、
【窓や壁、床や天井にバランスよく断熱要素を計画した家】と、
【コスト削減だけに重きをおいて、窓の性能は低く、代わりに別の場所の断熱性能を上げる家】
この2つは同じ快適性能でしょうか?
実はかなり違います。
特にLDKで利用するような大きな窓だけ性能の低いものにして、家全体のその他の断熱だけを強化してUA値を下げるような手法もあります。
この場合、冬場の窓からの冷気によってとても不快な状況が生まれたりします。
なので、単純なUA値のみの比較だけだと、結局は数値に胡麻化されて、数値の割に快適性を損なうと言ったことが生じるのです。
UA値を実際に比較する時には、
『床』、『壁』、『天井』または『屋根』、『窓』、『玄関ドア』
それぞれにどれだけの性能のものが使われていて、どれだけバランスよく配置されているのかもキチンと検討されている必要があるのです。
UA値とC値との関係
C値とは家の気密性能のことを指します。
詳細についてはこちらをご覧ください。
リンク:『気密をマスターしよう! ~気密測定とは?~』
この気密性能、UA値と混同されがちですが、両者は似て非なるものです。
C値は、「UA値と光熱費との関係」にもあるように、光熱費に関わる要素です。
UA値も光熱費に関わる要素でした。
その意味では、この2つの値は関連するのですが、意味合いは全然違います。
C値はどちらかというと、換気扇を効率よく効かせるために必要な要素になります。
あなたのお住まいに必要なUA値とは?どのような数値を目指すべきか?
ZEHにおけるUA値は十分か?
ZEHとはゼロエネルギーハウスのことで、太陽光発電を搭載することによって、その家で利用する電気やガスのエネルギーより、発電できる電気エネルギーが上回る住宅を言います。
そして、このZEHには、断熱性能の基準も定められています。
ZEHが満たさなければならないUA値は0.6とされています。
この0.6と言う断熱性能は充分なのでしょうか?
この場合もバランスが重要になります。
多くの場合、窓や玄関ドアの断熱性能がそれほど良くない場合が多いです。
このため、冬場に窓に近づいた時の冷気や、窓での結露が生じることが多くなり、充分な快適性が得られるとは言い難くなります。
あなたが目指すべきUA値とは?
生涯的に最もコストパフォーマンスが良く、健康を損なう恐れも少ないUA値は、HEAT20と言う学識団体が提唱するG2性能です。
大阪や東京などの地域は、気候条件による地域区分で6地域に分類されます。
HEAT20では6地域におけるG2性能はUA値0.46が基準値となっています。
このG2性能ですが、このほど発表された研究によると暖冷房費の削減や屋内で暖かく過ごせることによる、風邪やその他の疾患の予防によって防げる支出を考慮すると、最も理想的な断熱性能と言われています。
<文献:「住宅内温度に応じた医療推定法の提案と医療費を考慮した経済的な住宅断熱性能の検討」>
なので、これ以上を求める必要はありませんし、この程度の断熱性能を目指すことが理想的でしょう。
小さいお子様が暮らす場合の注意点
最後に、UA値が良くなると家の中で極端な温度差を体験することが少なくなります。そのため、生活するにあたっての注意点を挙げます。
<小さいお子様がいる家では、積極的な窓開けと外出を奨励>
幼児期に熱帯に移住した日本人は汗腺(汗を出す線)の数が多いことが分かっています。また、ロシア人と東南アジアの人を比べると汗腺の数が違う事も分かっています。
また、汗腺の数は2~3歳までに発達し、それ以降では変化がありません。
久野寧 著 汗の話 1963年
ですので、日本の夏に適応出来るように、出来るだけ外出して必要な暑さを体験させてやるか、屋内においても多少の暑さの経験をさせてやることが望ましいです。これは、断熱が無くてもUA値が高くなるマンションにおいても同じことが言えます。
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