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キコログ | 大阪で自然素材の注文住宅「kicori」

『家族と育つ家』『私の生活改善運動』を読んで考えたこと

石本(kicoriスタッフ) 石本(kicoriスタッフ)

Contents

    「てきとうに選んだものがひとつもない」

    家に遊びに来た友人のひとことです。そのときは「私こだわり強いからなー」と笑って終わったのですが…

    ”わたしの”生活改善運動

    先日、安達茉莉子さんの書かれた『私の生活改善運動』という本を読んでいてハッとしました。

    「見ていて嬉しい気持ちにならないものを、なんで見えるところに置いているの?」と友人から訊ねられるところから安達さんの生活改善運動が始まります。

    生活改善運動とは「ーーータオルやシーツ、ゴミ箱、セーター、靴、家具など具体的なモノから、住居や仕事、人間関係など様々なレベルで、自分にとっての幸せが何なのかを探り、幸せに生活していくための具体的な行動をとっていく。(本文/帯より)」ことだそうです。

    私も、知らず知らず「生活改善運動」をしていたことに気付き、そしてずっとこうだったわけではないことを思い出しました。

    大学生のときの一人暮らしの家のシンクはドロドロ、ベットの下は埃だらけ、料理をしてはすぐに鍋を焦がし、ボロボロの靴を履き続けたり…この頃、私は自分のことを料理も洗濯も掃除も、めちゃくちゃ苦手な人間なのだと思っていました。

    どこで変わったか…という明確なターニングポイントがあるとドラマチックなのですが、残念ながらそれは覚えていません。色々なものや人との出会いがあり、少しずつ、好きなもの、美しいものに触れていると、とても満ち足りて、自分が自分で大丈夫という感覚になるなぁと思うようになりました。

    おそらくきっかけのひとつは学生のときに出会ったシュタイナー教育。もうひとつは就職してすぐにまだ少ないお給料から買ったホルベインの100色色鉛筆。このふたつも語り出せば長いのですが割愛します。

    そして、妥協のない家づくりができたことも大きいと思っています。

    家づくりに関しては、もちろん予算は限られているので、その限られた予算のなかで…ということですが、自分たちが心地よいと思うことに素直に。そこにお金が必要ならば他を削ってでも大事なところにお金をかけるようにしました。

    例えば床の無垢材。家のなかで常に肌に触れる部分になるので、自然のものにこだわりたかった。

    例えば断熱材とサッシ。できる限り快適にすごせるように。雪が積もる地域で育ったので、寒いことの恐ろしさは肌身に染みています。

    例えば自然の光のなかで暮らすこと。それまで住んでいたのが周囲に高い建物が多い街中のマンションの1階で、明るい昼間でも電気をつけなければ生活できず、暗いのはこりごりでした。

    例えば照明。明るすぎるシーリングライトではなく、使う場所をやさしく照らすようなものを。デザインもお気に入りのもので。

    そのぶん土地はできるだけ安く。駅近でなくてよいので、自然を感じられる場所で。

    自分の気持ちに素直に家づくりをすること

    日本の文化のなかでは、自分のことを大切にすることは、ともするとわがままともとられます。

    お客さんからご要望をお聞きするときに「すみません。こんなにわがままばかりで…」とおっしゃることが多く、やはり気にされている方が多いんだなと思っています。でも、そのわがままこそが大切!だと私は思います。わがままのなかにこそ、その人が大切にされたい暮らしが潜んでいる…そして、家づくりへのたくさんのご要望は、家族や自分を大切にするたゆみない日々の「生活改善運動」への第一歩だと思うからです。

    わがまま、おおいにけっこう。そのぶん、難しいことは難しいですね…と率直にお伝えしようと思っていますし、難しくても希望を叶える他の方法を一緒に考えていきたいとも思っています。

    それは、私自身の家もそうやってkicoriでつくってもらったからであり、妥協せずに、自分や家族のことを大切に思ってつくったお家の心地よさをひとりでも多くのひとに体感してもらいたいからでもあります。

    そしてお家とどう付き合っていくか…

    Instagramを見ていると、お家の後悔ポイントをあげられているアカウントをたくさん目にします。

    私にも「こうしたほうが良かったなぁと思うことってありますか?」とお客さんから聞かれることもあります。こうしたほうが良かったなぁと思うこと…あります!でも、それは解決できると思っているので、後悔ポイントにはなりません。というのが私の答えです。最初から、自分たちの暮らしと好みにピタリの百点満点な家を知っている人なんていません。(そして好みや家族のカタチ、暮らし方は変わっていきます。)でも、いつも自分たちが心地よいと感じることに素直に、「実は好きじゃない」を放置せず、具体的に動くことを続けていれば、何とかならないことは無いことに気付けます。

    例えば…うちでは最近…予算の都合であきらめた可愛いスイッチがどうしても気になり、先日真鍮のスイッチカバーをつけました。(可愛いです。最高です。)

    そして、自分なりにこだわりぬいた家だから、置くものや使う道具にも自然とこだわりたくなり、そこにあるひとつひとつを愛でる気持ちで暮らしていると、料理も洗濯も掃除も不思議と嫌いではなくなりました。(完璧ではないですが^^;)今は、どこのカフェに行くよりも自分の家がいちばん好きで心地よいです。

    自分たちの理想の暮らし、心地良いと思うことに合わせてつくった家ですが、逆に家に自分たちが育てられることもあるんだなと思っています。

    お家での幸せな暮らしのために

    お家は建って終わりではありません。むしろ、そこからが新しい暮らしのはじまりです。そこからぜひ、よりそのお家がご家族にとって幸せな場所になるように、育てていってください。

    自分の心に素直にとことん楽しんでお家をつくり、新しいお家での暮らしもめいいっぱい楽しんでいただきたいです。そして、もっとよくできないかなと思われたときに、私たちがご協力できそうなことがありましたらいつでもご連絡ください。一緒に考えたいです。

    最後に『私の生活改善運動』より…

    「…自分の「生活」をできるだけ心地よく幸せにしていくという試みは、自分たちを貧しく、雑に扱わせてはならない、という意地につながる。

     ひとりひとりの心の底に沈むものに目を向けることは、そのひとを丸ごと尊重することである。」

    「ひとは豊かに生活していいし、幸せを求めてもいい。…人生は短いのだから。」

    3月9日(サンキューの日)に。

    引用 安達茉莉子 『私の生活改善運動』三輪舎