受付時間 / 9:00〜18:00

資料請求・お問い合わせ

KICOLOG キコログ

KICOLOG キコログ | 大阪で自然素材の注文住宅「kicori」

政府が推奨する「くらしの10年ロードマップ」

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    政府は、なぜ「家づくり」と「省エネ」を一緒に考える必要性を訴えるのか?

    近年、国は「脱炭素」を産業や発電の話だけではなく、我々国民の一人ひとりの暮らしの問題としてもえています。その中で特に重視されているのが、住宅分野です。

    環境省の「くらしの10年ロードマップ」では、国民・消費者の行動変容やライフスタイル転換を促し、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを実現するための道筋を示すものだと位置づけられています。
    つまり政府は、脱炭素を“我慢”ではなく、暮らしの質を上げる方向で進めたいと考えているのです。

    そして住宅が重視される理由は明快です。家は一度建てると、そこでの暮らしが何十年も続きます。断熱性が低ければ、夏は暑く冬は寒く、冷暖房費もかさみます。逆に、性能の高い家は光熱費を抑えやすく、温熱環境も安定しやすい。政府はこうした住宅の性能を、単なる「環境配慮」ではなく、家計・快適性・健康・安心に直結するものとして位置づけています

    「くらしの10年ロードマップ」とは何か

    「くらしの10年ロードマップ」は、令和6年2月に公表された、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの実現に向けた政策の道筋です。特徴的なのは、暮らし全体を「衣」「食」「住」「職」「移動」「買物」など大きく7分野に整理し、生活者の目線からボトルネックと対策を示している点です。

    <参考>デコ活 暮らしの中のエコろがけ

    家づくりに特に関係が深いのは、「住[外]」と「住[内]」です。
    「住[外]」には住宅の省エネ化・再エネ導入、具体的には断熱化や太陽光発電などが含まれます。
    「住[内]」にはLED照明、高効率給湯器、省エネ家電、節水機器などが位置づけられています。
    つまりこのロードマップは、家づくりを考える際に、建物そのものの性能だけでなく、設備の選び方まで含めて見直そうとしているのです。

    しかも、ここで語られているのは「環境のために我慢しよう」という話ではありません。断熱化で年9.4万円、太陽光発電で年5.3万円、高効率給湯器で年3.5万円など、暮らしのメリットをお金や安心の形で示している点が特徴です。

    ロードマップが住宅に求めていること

    住宅分野で政府が特に重視しているのは、断熱化太陽光発電の導入です。
    ロードマップでは、2021年度時点で住宅ストックのうち省エネ基準適合住宅は14%にとどまるとされ、まだ十分とはいえない現状が示されています。そのうえで、2030年度までに住宅ストックの30%を省エネ基準に適合させること、新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備を搭載することが目標として掲げられています。

    ここから、政府が住宅の省エネ性能を「一部の意識の高い人だけの選択」とは見ていないことです。むしろ、これからの住宅では広く普及していくべき標準的な方向として捉えているといえます。今後、住宅選びや家づくりにおいて、省エネ性能は“付加価値”ではなく、“前提条件”に近づいていくのです。

    認知状況のデータから見る現在の状況

    こうした方向性は、一般消費者に浸透しているわけではありません。令和8年1月9日(金)~同年1月13日(火)に行われた、環境省の第3回消費者調査では、「くらしの10年ロードマップ」を浸透させるために始めた「デコ活」の認知率は22.0%で、第1回調査と比べて低下傾向にあると示されています。住宅以外も含めた暮らし全体の脱炭素の考え方が、まだ十分に社会に浸透しているとは言い難い状況です。

    住宅分野に限って見ても、上の図のように
    窓の高断熱化の認知率は74.9%、意欲率は48.8%、導入率は21.2%で、
    太陽光発電設備は認知率81.3%と高い一方で、意欲率26.4%、導入率8.2%にとどまっています。
    つまり、多くの人は「聞いたことはある」「何となく良さそうだとは思う」段階には来ていても、実際の導入にはまだ至っていないのです。

    その背景として、ロードマップでは初期費用がかかったり、導入に手間がかかること、一般の消費者の情報不足を大きな壁として挙げています。実際、断熱性能を上げることや太陽光発電を載せることにはまとまった費用がかかります。だからこそ政府は、補助、ローン、PPA(太陽光発電の「初期費用ゼロ型の導入方法」)やリース、情報提供の強化などを組み合わせ、導入のハードルを下げようとしているのです。

    家づくりで省エネを採り入れるべき本当の理由

    では、これから家を建てる人は、なぜ省エネを強く意識すべきなのでしょうか。理由は、単に「環境に良いから」だけではありません。ロードマップでは、住宅の断熱化により年間9.4万円の家計メリットが見込まれ、さらにヒートショック防止にもつながるとしています。太陽光発電についても、年間5.3万円のメリットに加え、災害時にも使える価値が示されています。

    これはつまり、省エネ住宅が毎日の暮らしを楽にし、将来の負担を減らし、非常時にも強い家だということです。とくに新築では、後から性能を上げるよりも、最初から計画に組み込む方が合理的です。断熱、窓、給湯、太陽光は、完成後にやり直そうとすると費用も手間も大きくなりがちです。だからこそ、家づくりの段階で判断する意味が大きいのです。

    これから家を建てる人が、まず押さえたい省エネのポイント

    これから家を建てるなら、まず重視したいのは断熱性能です。外壁や屋根だけでなく、窓の性能が住み心地を大きく左右します。そのうえで、高効率給湯器やLED、省エネ家電などを組み合わせれば、暮らし全体のエネルギー負担を下げやすくなります。太陽光発電についても、初期費用の大きさだけで判断するのではなく、長期的な光熱費削減や災害時の備えという視点で考えることが大切です。

    まとめ

    環境省の「くらしの10年ロードマップ」を見ると、政府は住宅の省エネ性能を、これからの暮らしの土台として本気で広げようとしていることが分かります。一方で、消費者調査では認知や意欲が十分とはいえず、知っていても導入に踏み切れていない現実も見えてきます。

    だからこそ、これから家づくりをする人には、一歩先に情報を取りに行く価値があります。今後の家づくりでは、省エネは追加オプションではなく、暮らしを守る基本性能として考えるべきです。そして可能であれば、その延長線上にZEHを目指すという視点を持ことが、将来にわたって満足度の高い住まいづくりにつながるのではないでしょうか。