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太陽光発電のベストな設置角度とは?

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    東京都の太陽光発電設置の義務化により、住宅への太陽光発電の搭載がかなり進みそうです。
    国は、2030年までに新築住宅の6割に太陽光発電の設置することを目標としており、既に一条工務店、積水ハウス、大和ハウスなどの大手ハウスメーカーでは太陽光発電の搭載率が100%近くなっています。また2050年までに日本の全ての設置可能な建物に対しての太陽光発電の設置を目指しています。

    また、ここ最近の急激な電気料金の値上げにより、太陽光発電の需要もかなり増えてきました。こうした背景から今後も太陽光発電の設置はますます増えていく一方になるものと思われます。

    とはいえ、既に建ってしまっている建物に太陽光発電を設置する場合、設置方法は限られる上に、折角設置してもベストな発電が出来るとは限りません。ですので、新築で家を建てる段階で太陽光パネルによる発電を意識した建物としておくことで、ベストな発電を実現することが可能です。もちろん、新築時に太陽光発電を設置していなくても、後から設置する可能性は十分に考えられる訳ですから、事前に準備しておくと言う意味においても検討しておくと良いでしょう。

    太陽光の設置には2つの角度が重要

    太陽光発電の設置には2つの角度が重要となります。

    太陽光パネルを設置する方角

    太陽光発電を設置すべき方角

    1つは東西南北のどの方角に向かって設置するかです。
    これは、なんとなくベストな方向が分かりそうです。
    当然、北側に向けて設置すると発電量は一番少なくなります。北側には殆ど太陽が無いので、これは当然ですね。

    この理屈でいくと、太陽光発電に最も向いている方角は南という事になります。
    しかし、完璧に太陽光パネルを南側に向けることは通常は難しい場合が殆どです。

    では、東と西のどちら側の方が発電量は多いのでしょうか?

    当然、これは隣地や周辺の建物状況によっても変わってしまいます。
    ですので、今回は原っぱで自宅以外の建物が無い場合を考えてみます。
    この場合だと、西と東は違いがありません。
    西から来る日射と東から来る日射は、殆ど同じとなります。
    とは言え、どちらかの方向に山がある場合。その分発電量は若干ですが減ることになります。
    もし、西か東かを選べる状況にあれば、一つのヒントとしては建物や山など直射日光を遮るものがないかどうかを確認しましょう。

    南側に向けられる場合でも、建物の陰になることが確実な場合は、寧ろ建物の陰に隠れることが少ない道路側に向けた方が発電量が多くなることもあります。
    このように日影で発電できない時間帯や季節があることが確実な場合は、方角よりも日影にならない方向に向けることが大切になります。

    太陽光発電を設置する傾斜角度

    2つ目は太陽光パネルを設置する傾斜の角度です。
    多くの場合、傾斜は屋根の勾配(傾斜)で決まります。
    夏や冬に太陽の高度が異なる日本の場合、どの角度がベストなのでしょうか?

    仮に赤道直下の国だった場合を想定します。この場合、太陽は殆ど真上にあり、南や北に傾くことはありません。ですので、パネルは地面に平行に置くとベストです。

    しかし、日本は大阪で北緯35度くらいです。この場合、どのような角度が良いのでしょうか。
    パネルは太陽の直射日光に対してなるべく垂直に置く方が良く発電します。

    なので、極力垂直に近い状態を朝から夕方にかけて、また春夏秋冬全ての季節を通して保ちたい訳です。これを考慮して、ベストな角度は

    大体20~30度程度

    となります。ですので、屋根の角度から言うと

    4寸~6寸

    までの間の角度にしておくことがベストとなります。

    大事なのは屋根の計画

    既に建ってしまっている住宅の場合、太陽光発電を設置するからといって、パネルの向きや角度を調整することはかなり難しいです。
    これに対して、新築の住宅であれば屋根の角度を変えたり向きを工夫することが可能です。
    極力、南に近い方向に屋根の斜面を計画し、屋根の角度を4寸~6寸程度とすれば良いのです。

    太陽光パネルは、なるべくたくさん設置できる方が将来的には得するので、設置面積は大きい方が有利です。帽子のような寄棟の屋根(下の写真)のようにすると、必然的に設置できるパネルの面積は小さくなります。

    寄棟の屋根

    これに対して、片流れの屋根や切妻の屋根の形状であれば沢山のパネルを載せる事が可能です。
    このような屋根の面を極力南や日影の少ない方角に向けるように計画してやることが大切です。

    片流れの屋根

    ただし、周辺の建物状況は将来に渡っては変わってしまう可能性があります。
    突然、隣に3階建ての建物が建ってしまったというようなことも無いわけではありません。
    このようなことになると、折角の太陽光発電でも全くの無駄になってしまいます。

    将来に渡って、隣や近隣に高い建物が建つ可能性が無いかどうかは、その場所の用途地域と呼ばれるもので決まります。高い建物が建つ可能性が無いかどうかはプロに聞いてみることが一番です。

    太陽光発電設置のための参考表

    最後に、太陽光発電を設置する場合に参考となる方角と傾斜角の違いによる一般的な発電量の表を掲載しておきます。これはあくまで参考ですが、分かり易くなっているので重宝すると思います。

    パネルの傾斜角→0度10度20度30度40度60度90度
    南から東西へ15度未満10.010.310.710.710.39.25.9
    15度以上45度未満10.010.310.310.310.08.95.5
    45度以上75度未満10.010.010.010.09.28.15.2
    75度以上105度未満10.010.09.69.28.57.04.8
    105度以上135度未満10.09.68.98.17.45.93.7
    135度以上165度未満10.09.28.57.76.64.83.0
    165度以上真北まで10.09.28.57.46.34.42.6
    パネルの傾斜角と方角による発電量の違い

    上の表では、パネルの傾斜角度と方角によってどの程度発電量が違うかを示しています。平らな場所に置いた場合を10としてそこからどの程度発電量が変わるかを示しています。

    最悪な場合とベストな場合では4倍も発電量に違いがあることが分かります。
    これは日影などが無い場合の理想的な場所での比較になりますが、これを参考にして、屋根の計画を考えてみると良いでしょう。