バルコニーやデッキの床にご用心!?
高断熱住宅になると、バルコニーを採用する家が少なくなってきていることを以前の記事で紹介しました。花粉や黄砂の予防の意味もあるでしょう。
しかし、とは言えバルコニーや1階のリビングにデッキを設けたいと言うケースはまだまだ存在します。そんな時に一工夫をすると、リビングやバルコニーを設置した部屋が快適に過ごせる方法があります。
家の中の暑さの原因は?
夏、家の中が暑くなるのは何故でしょうか?
まずは夏に部屋が暑くなる原因を探ってみます。
直射日光の影響
家を単体で考えた場合、暑さの原因は窓から入って来る太陽の光による影響です。
なかでも直射日光は強烈で、これによる暑さがかなりの割合を占めています。
地球は、太陽光から膨大な熱を得ています。この熱が家を熱くする主な原因です。
<参考>日除けシェードの費用対効果を検証
内部発熱による影響
この他にも家の中が暑くなる原因はいくつかあります。
まず、結構大きな原因となるのが【ヒト】の存在です。
人は、大人一人で100W程度の熱を放出しています。
ですので、10人も集まると立派な暖房器具と同じになります。
この他にも、内部発熱といって家電や照明などの発熱する【モノ】によっても家の中は暑くなります。
この内部発熱を少なくするためには、なるべく省エネな家電や照明を利用することです。
省エネな器機は使用する電力量が少なくなる分、発熱量も当然減ります。
外部の事物による影響
太陽からの光の影響や内部発熱は比較的よく知られていて、実際に暖冷房がどの程度必要かを検討する際にも考慮されることが殆どです。
しかし、実はあまり考慮されていないのに実は結構屋内の暑さに影響を与えている原因があります。
それが、窓の外部にある事物(じぶつ)の影響です。
窓から十分に離れているものはそれほど影響しません。
しかし、窓の直近になる事物は窓ガラスを通して屋内に熱を放射しています。
窓の直近にある、熱せられた熱いものが原因になっているのです。
窓の直近にある熱いものと言えばなんでしょう?
そうです、そればバルコニーの床やデッキの床なのです。
外部からの熱の影響はどれくらい?
例えば、窓ガラスの外側の表面の温度が45℃とします。
この時、バルコニーの床の温度が同じ素材のもので、50℃であった場合と、46℃であった場合ではどの位影響が違うのでしょうか?
熱をもった物体がやりとりする熱の量は、絶対温度と言うもので決まります。
ですので、45℃のガラスであれば、318.2K。50℃の床であれば、323.2Kになります。
細かい説明は省きますが、この時の熱のやり取りは、両者の4乗の差に、放射率というものを掛けたものに比例します。
(323.2の4乗-318.2の4乗)×ガラスの放射率×床の放射率×定数
となるのです。
今は50℃でも46℃でも同じ素材なので放射率は一定です。
結局この場合、50℃の床は46℃の床の熱量に比べて約5倍も多くなるのです!
※決して温度が5倍になるわけではありません。あくまで熱の量です。
つまり、バルコニーやデッキの床の温度は低い方がかなり熱の影響を減らすことが出来るのです。
床の材料による温度の違い
温度は少しでも低い方が良いことが分かりました。
実際、夏の暑い時にコンクリート製のデッキであれば、歩けないくらい熱くなっています。
これだけでも、床の温度は低い方が良いことが体験的にも分かります。
では、実際床にはどんな材料を使えば良いのでしょうか?
以下はある条件の時に計測した様々な表面の温度です。
ある特定の時間のみなので、あくまで参考と言う形ですが温度に違いがあることが分かります。
タイル (色はさまざま) | アスファルト | アスファルト (日影) | コンクリート | 芝生 | 人工木 | 天然木 (桧) |
46~57℃ | 65℃ | 45℃ | 50℃ | 36℃ | 48~57℃ | 42~45℃ |
理想的な床素材は芝生
上の表から、理想は芝生であることが分かります。
芝生はメンテナンスのために水を撒くこともありますし、芝生自体が水を吸う事で温度を低い状態に保っています。
芝生であれば夏の暑い日にも裸足であるくことも可能です。(かなり暑い日は別ですが。)
最近では、バルコニーに芝生を設置することも可能な素材があるので、検討の余地があります。
しかし、芝生の場合はメンテナンスが必要であることを事前に理解しておくことが必要です。
次善手は天然木
次善の手段としては天然木です。
木は木の種類と塗料などで塗るかどうか等によっても変わります。
木の種類は柔らかい木の方が温度が低くなりやすいですし、ヒノキなどの白っぽい木の方が温度が低くなります。
塗料を塗る場合、コーティング剤を塗ってしまうと木の良さは失われ、コーティング剤の色によってかわります。この場合は白色が温度を低く保つコツです。
コーティング剤を使わない場合は含侵材を利用することをお勧めします。
ただし、天然木は木の硬さによってかなり変わりますがいずれにしてもメンテナンスが必要です。
メンテナンスが嫌なら人工木
最近はメンテナンスを最小にするために人工木と言うものがつくられています。
メーカーによってさまざまな種類があり、ベースが樹脂であることが多いです。
この手の材料は、夏場にどの位の熱さになるのか温度表示してあるものが多いので、それを確認して参考にしてみる手もあります。
まとめ
バルコニーやデッキの床は、リビングやバルコニーを設置している部屋の暑さに影響を与えます。
なので、そのことを考慮に入れた上で床の素材を決める事が大切です。