部屋を仕切っても温度が広がる理由
前回は部屋の扉を閉め切った場合と、開け放った場合にどの程度の温度の差があるのかを検討しました。
<参考>部屋を仕切る場合と仕切らない場合の温度の広がりの違い
部屋がエアコンから近いほど、温度は開け放っていても、締め切っていてもそれほど変わらなかったのが確認できました。
では、何故ドアを締めたままでも温度がそれほど変わらないのでしょうか?
ドアを締め切っても温度が変わらない要因
ドアを締め切っても、開け放った状態とそれほど変わらない理由の一つとして、近年の建物に利用される屋内ドアの特徴にあります。
近年では、人が長く居るような部屋では必ず換気扇を設ける必要があります。
しかし、各部屋に換気扇を設けると換気のしすぎで部屋が寒くなりすぎるようなことが起こります。
そこで、最近では各部屋に換気扇を設けるのではなく、部屋には空気が入る穴だけを設けて、お風呂やキッチンの換気扇など、別の場所の換気扇で屋内の空気を外へ排出するケースが多くなっています。
こうなると、部屋と部屋の間に空気が通るようにする必要があります。
そこで、近年の屋内ドアはドアの下部に2cm程度の高さの隙間が出来るように作成されているのです。
この隙間を通って、換気用の空気が部屋と部屋の間を通っていることが多いのです。
つまり、暖房や冷房の空気もある程度はこの隙間を通って、締め切った部屋に送ることが出来るのです。
空気の流れの確認
そこで、今回はこの隙間からどの程度の空気の流れがあるのかを確認したいと思います。
たった2cmの隙間で、本当に暖房の空気を通すことが出来るのでしょうか?
まずは、事前に計画されている換気による空気の流れの確認です。
換気扇による空気の流れは以下の順序で、計画されています。
外→1階LDK→吹き抜けを通って2階ホール→ドアの下を通って2階の各部屋→外に排気
このような形になっています。
床下のエアコンによる暖房は、この換気の空気の流れに乗って暖かい空気を運んでいます。
大まかにはこの順番ですが、実際の空気の流れはもっと複雑です。
シミュレーションによる空気の流れの確認
前回と同様の間取りですが、以下のような位置関係です。水色から紫にかけてがLDKです。
この中で、赤線の部分で切断した場合にどのように空気が流れているのかを確認します。
外からの空気は水色の赤丸で囲んだ部分から入ってきます。


2階も1階と同じ位置で切断を行います。矢印の位置に屋内ドアがあるので、ここに本当に空気が入っているのかを確認します。

切断した部分の空気の流れが上の図です。右側にある赤矢印の部分に床下から空気が上がっているのを確認できます。これが外からの空気をLDKに入れている暖房を含んだ空気の流れです。計画通りの流れとなっています。この部分の図面内の矢印が少し明るい色の矢印になっています。0.3[m/s]程度の流れになっていて、ここは少し流れが早いことがわかります。
LDKに入った空気の流れは、そのまま2階の天井まで上がり、2階のホール部分まで行き渡った後に、LDKに戻ってきています。LDKでは渦のように空気が回転して、奥の方まで空気が行き渡っていることが確認できます。
また、図の中の赤丸で囲んだ部分が屋内ドアになっています。今回はこの部分の空気の流れを確認したいので、ここを拡大してみましょう。

図を拡大してみると、わずか2cmの隙間から空気が入っていることが分かります。
しかもこの部分から入った空気は、部屋に入って行くときに矢印の色が明るくなっています。他の部分に比べて、少し空気の流れが早いことを意味しますが、しっかりと空気が入っていることがここで確認出来ます。
ここから入った空気が、部屋をしっかりと駆け巡り、換気が出来ていることも確認できます。
そして、この換気の空気と一緒に暖房の暖かい空気が入ってきているのです。
この結果、締め切った場合でもある程度の暖房が可能になっているのです。
床下エアコンを採用する際の参考にして下さい。



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太田(健康・高断熱住宅専門家)