これで安心ZEH相当の設備仕様
前回のブログでもお知らせしましたが、最早ZEH(ゼロエネルギーハウス)にすることは今後の住宅において最低限必要なこととなりつつあります。
国が示す住生活基本計画では、2030年までに全ての新築住宅をZEHにすることを目標としており、多くの普及政策が進められています。
もし、ZEHについてあまり詳しくない場合は以下もご覧ください。
「新築を建てるなら、ゼロエネルギー住宅(ZEH)にするべきか?」
そんなZEHですが、手軽にZEHとするための基本的な仕様例(何を使えば良いか)が定められています。
※これでないと、ZEHに出来ないと言う訳ではありませんので、注意して下さい。
今回は、関西におけるその仕様例をご紹介したいと思います。
ここで求められている仕様は、一般的な家庭においてエネルギー消費量が多い以下の項目となっています。それぞれの項目について、見ていきたいと思います。
- 暖房設備
- 冷房設備
- 24時間換気設備
- 照明設備
- 給湯設備
- 建物の断熱性能
ZEHの暖房設備に必要な性能
暖房設備では、2つの大きな基準があります。この2つの基準は暖房する方法によって分かれて、以下のとなります。
【家全体を暖房する方法】
【居室のみを暖房する方法】
ここで言う、【家全体を暖房する方法】とは、ダクトによって暖房の空気を搬送するタイプの方法を指しています。
しかしG2程度の高断熱住宅の場合は、わざわざダクトを利用してまで暖房を行う必要性は低く、ここでは【居室のみを暖房する方法】をご紹介します。
この居室のみを暖房する方法においても、2つの暖房方式に分かれていて、どちらかを選ぶ必要があります。
それが以下の方式です。
『24時間ずっと運転する(連続運転)』方式
『暖房をつけたり、消したり運転する(間欠運転)』方式
しかし、ここで『24時間ずっと運転する方式』は、「パネルラジエーター」と言うもの(床暖房の壁版のようなもの)を利用する場合に限られています。
つまり、通常のエアコンを利用して暖房する場合は、『暖房をつけたり、消したり運転する』ことが想定されています。
この通常のエアコンを利用する場合は、どのようなエアコンを選べば良いのでしょうか?
ここで、必要とされているエアコンの性能はカタログ等で表記されている、
≪区分(い)≫
を満たす性能のものを選ぶこととされています。他には区分(ろ)(は)がありますが、この内(い)が最も省エネ性能が高いものとなっています。
エアコンのカタログ上では上のように表記されています。「定格冷房エネルギー」と記載されていますが、暖房でも冷房でも同じ区分となります。
ZEHの冷房設備に必要な性能
冷房に必要な性能についても
【家全体を暖房する方法】
【居室のみを暖房する方法】
とで基準が異なります。
こちらも同様に、【家全体を暖房する方法】とは、ダクトによって暖房の空気を搬送するタイプの方法を指していますが、G2程度の高断熱住宅の場合は、わざわざダクトを利用してまで冷房を行う必要性は低いため、【居室のみを暖房する方法】を紹介します。
冷房の場合は、『24時間ずっと運転する(連続運転)』方式は無く、『暖房をつけたり、消したり運転する(間欠運転)』方式のみとなっていて、通常のエアコンを利用する場合は、こちらの基準を満たせば良いこととなります。
同様に省エネ性能は(い)、(ろ)、(は)で分けられていて、基本的にエアコンを利用する限り、この性能は同じとなります。
ですので、暖房と同じ区分の(い)を必然的に利用することになります。
ZEHの24時間換気に必要な性能
住宅には24時間稼働する換気扇の計画が必要になります。その中でも熱交換型の換気扇とそうでないものがあります。この辺りがあまり詳しくない場合は以下のリンクを参考にして下さい。
熱交換換気扇の場合
熱交換換気扇の場合は、【壁掛け式】と【ダクト式】と呼ばれるものがあるのですが、【ダクト式】であることが必須となります。
また、熱交換換気扇の場合は【温度交換効率】と呼ばれるものが最も重要です。
この温度交換効率は、その機会がどれだけ家の中の暖かさ(あるいは冷気)を維持しながら換気出来るかの指標で、高ければ高いほど優れています。
この、温度交換効率が70%以上ものものが必要とされています。
カタログ等にこの数値が示されているので、確認してみましょう。
また、この他にも以下の基準を満たしている必要があります。
カタログ等に記載されているはずなので、確認してみましょう。
- 有交換気量率0.8以上
- 第一種換気
- DCモーターを採用していること
- ダクト内系が75mm以上
などが求められています。
熱交換換気扇でない場合
熱交換換気扇でない場合は、【壁付け式】か【ダクト式】かで基準が分かれますが、通常は【壁付け式】となりますので、こちらを紹介します。
この場合は、求められている仕様としては1つのみです。
- 比消費電力が0.3W/(㎥/h)以下
こちらもカタログ等に記載されています。
ZEHの照明設備に必要な性能
照明の場合は、求められる仕様は1つしかありません。
- すべての照明がLEDであること
既に日本国内では、LED以外の照明は殆ど生産されていませんので、殆ど自動的に満たされます。
ZEHの給湯設備に必要な性能
給湯設備とはお湯を作って運び、お湯を出す設備をひっくるめて言います。
お湯を作る器機を給湯機といい、お湯を運ぶ部分を配管、お湯を出す部分を水栓と言います。またお風呂の浴槽についても基準があります。
給湯機に求められる性能
給湯機にも灯油、ガス、電気どのエネルギーを利用してお湯を作るかによって、3つの種類があります。それぞれが満たされているかを確認してみましょう。
- 石油給湯器:カタログのモード熱効率が84.9%以上
- ガス給湯器:カタログのモード熱効率が86.6%以上
- 電気ヒートポンプ給湯器:CO2冷媒でカタログの年間給湯保温効率又は年間給湯効率3.3以上
配管に求められる仕様
お湯を作った機器から、お湯を使う場所に運ぶまでになるべく無駄にお湯を冷まさないように定められた仕様が以下です。
- ヘッダー方式で分岐後の配管の太さが13A以下
浴室のシャワー水栓に求められる仕様
水栓の中でも特にシャワーで利用されるお湯が多いため、シャワー水栓で求められる仕様があります。その仕様が以下です。こちらもカタログなどで確認が可能です。
- 手元で止水できるタイプで、小流量吐水機能を有するもの
浴槽に求められる性能
浴槽に求められる性能は1つのみです。カタログや仕様書に記載されています。
- JISと言う基準で認められた断熱材で覆われた高断熱浴槽であること
ZEHで求められる建物の断熱性能
大阪であれば、UA値が0.60以下であることを求められますが。G2性能の住宅であれば、更に高い断熱性能がありますので、あまり気にする必要は無いでしょう。
以上を満たせば、ZEH基準をクリアできるようになっています。
1つの参考にしてみて下さい。