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24時間暖房するのはもったいない?G2性能の住宅の場合

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    最近、エアコンで暖房をする場合「24時間暖房した方が電気代が安くなる」なんて噂を聞いたことはありませんか?実際に、本当に安くなるのでしょうか?
    今日はそんな疑問に回答していきます。

    はじめに:G2性能の住宅とは?

    G2性能の住宅ってなに?簡単に解説

    G2とはHeat20という団体が規定している、ある一定基準以上の断熱性能を満たした住宅のことです。
    大阪と言った地域では、概ね13℃を下回ることがない断熱性能の住宅を言います。一般的には6地域でUA値0.46以下(UA値は数字が小さい方が断熱性能が高い)とされていますが、実際には、建物を建てる場所において概ね13℃を下回らないようにしなければなりません。

    なぜG2性能が重要なのか?

    さて、このG2住宅ですが、もしこれから家を建てるのであればこの性能を満たしておくことが望ましいです。G2性能を満たす住宅であれば、光熱費が高くならない程度の暖房を行う事によって、18℃を下回ることのない暮らしが実現できるのです。

    何故、18℃を下回らないことが重要なのでしょう?
    それは、WHO(世界保健機構)と言うところが、冬場18℃を下回らない建物にすることが健康のためには推奨される。と、公表しているからです。

    <参考>WHO Housing and health guidelines – Executive summary


    24時間暖房する家としない家の違い

    24時間暖房する家のメリットとデメリット

    G2ではない住宅において、24時間暖房することにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
    例えば、以前まで省エネルギー等級4と言うものが国が示す基準の中で、最も断熱性能が高いものでした。その場合のUA値は0.84です。G2と比べると倍近く断熱性能が低い建物です。

    この場合の住宅で24時間の暖房を実施した場合、どう言うメリットがあるでしょうか?
    当然、24時間暖房をすることになるので、常に暖房を行っている部屋は暖かい状態になります。この点はメリットと捉えて良いでしょう。

    逆にデメリットはどうでしょうか?
    省エネルギー等級4程度の断熱性能の住宅で24時間暖房すると、光熱費はかなり高額になります。
    実は、暖房に必要な光熱費は家の断熱性能によって大きな違いが出るのです。
    ですから、断熱性能が低い住宅では24時間暖房しても光熱費が安くなることはありません。

    また、この程度の断熱性能の家の場合、例えばLDKでエアコンを稼働させたとして、他の部屋を暖めることは出来ません。ですので、例えば暖房の無い風呂や洗面所、トイレと言った場所を暖めることはできません。部屋間に温度の差が出来ることになり、ヒートショックのリスクが高まります

    G2性能住宅で暖房の必要性はどう変わる?

    次にG2性能の住宅の場合、24時間暖房をするとどうなるでしょうか?

    メリットとしては、当然24時間暖かく過ごせます。
    また、G2性能の家であれば仮にLDKで暖房を行ったとしても、他の部屋まで暖かくなっていく効果が期待できます。これは暖房負荷と言うものが極端に小さくなるため、余った熱が他の部屋に広がっていくためです。ですので、風呂や洗面所、トイレとった場所まで温度が上昇し、部屋間の温度差すら小さくなるのです。


    G2性能住宅の暖房戦略

    効率的な暖房方法とは?

    G2性能の住宅の場合、従来の暖房のように人がいるときだけ暖房を運転し、いなくなれば暖房を止める方法と、24時間稼働させる方法とでは、光熱費にどの程度の違いがあるのでしょうか?

    ざっと、24時間稼働させた場合には、エアコンをつけたり、消したりするよりも2倍の光熱費がかかります

    ですから、いくら高断熱住宅だからと言って、24時間暖房をすることが、エアコンをつけたり・消したりを繰り返すことよりも安くなるという事は、あまり生じません。

    ですので、光熱費を兎に角安くしたい場合は、24時間暖房よりもエアコンをつけたり・消したりした方が安くなります。

    それでも24時間暖房がお勧めな理由は?

    それでもG2住宅の場合は、24時間暖房をおすすめします。
    その理由は、以下のグラフにあります。

    このグラフは、先ほどの省エネルギー等級4の断熱性能の住宅とG2の住宅を比較したグラフです。

    「部分間歇」と書かれた部分に灰色の大きな丸があります。
    ここは、省エネルギー等級4でエアコンをつけたり、消したりした場合の光熱費とその時の体感温度が表示されています。光熱費としては12GJで、体感温度は約10℃となっています。

    同じ、「部分間歇」でG2にした場合はどうでしょうか?
    右下に矢印があるので、オレンジのラインまで辿ってみて下さい。
    緑色の大きな丸があります。
    ここを見ると光熱費とその時の体感温度が分かります。
    光熱費は先ほどの半分程度の約5GJで、体感温度はかなり上がり、約14℃です。

    しかし、ここで着目して欲しいのは、灰色の大きな丸から右へ辿った緑の大きな丸です。
    これは、G2の住宅で24時間暖房した場合の光熱費と体感温度です。
    光熱費は、省エネルギー等級4でエアコンをつけたり、消したりした場合と同じ光熱費で、なんとその時の体感温度は18℃となっています!!!
    そう、この条件であれば、先ほどのWHOの健康に必要な最低温度を十分にキープすることが可能なのです!!!

    元々、省エネルギー等級4での部分間歇は、我々が目指すべき省エネルギー性能で、この程度の光熱費であれば十分とされてきました。
    このことを踏まえると、G2の場合は健康と省エネルギー性を両立させるために、24時間暖房するべきなのです。


    まとめ:G2性能住宅で考える暖房の賢い使い方

    24時間暖房は本当にもったいない?

    ここまで見てきて貰うと分かると思います。
    「24時間暖房する方が光熱費が安くなる」と言う噂の真相は、「断熱性能の低い住宅で、エアコンをつけたり、消したりする場合」と「断熱性能の高い住宅で、エアコンを24時間つけっぱなしにする場合」であれば、後者の方が安くなるか同じ程度で済む。と、いう事なのです。