受付時間 / 9:00〜18:00

資料請求・お問い合わせ

キコログ

キコログ | 大阪で自然素材の注文住宅「kicori」

天井断熱と屋根断熱はどちらがよい?

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    天井断熱とは?

    天井部分に断熱をする工法で、下の写真のようにこれから天井になる部分の真上に断熱材が入っています。従来は断熱をすると言えば天井断熱でした。

    天井断熱
    天井断熱の例

    天井断熱の場合、小屋裏空間(写真の上部)には断熱が無く直射日光の影響で高温になります。

    通常、屋根は夏場に70~80℃近くまで温度が上がります。このため、小屋裏の温度を計測すると、50℃近くまで上がることが分かっています。

    屋根の高断熱化と高反射化による小屋裏内温熱環境の改善

    屋根断熱とは?

    天井断熱とは異なり、屋根裏に断熱する工法です。

    屋根断熱
    屋根断熱の例

    この方法の場合、直下の空間は断熱材の厚みによって温度が変わります。

    例えば、「屋根の高断熱化と高反射化による小屋裏内温熱環境の改善」では、フェノールフォーム50mmの利用で、屋根表面温度が70~80℃近い場合でも、最高で35℃程度にまで抑えられることが分かっています。

    通常、G2性能の住宅では屋根の断熱材はもっと分厚くすることが殆どです。その場合は更に温度を低く抑えることが可能となり、殆ど屋根からの熱の影響を受けなくなります。

    小屋裏空間の高熱の影響

    天井断熱の場合、小屋裏空間が高温になります。体験的にもロフトや小屋裏収納に登って、サウナのような暑さを感じたことがあるのではないでしょうか?

    この場合、何が問題なのでしょうか。

    一番の大きな問題として、この空間が暑くなることによって、木材が縮んでしまう事です。これは、熱によって木材の中の水分が蒸発してしまうからです。

    一旦蒸発してしまうと、木材はかなり細くなります。そして木材が細くなると、本来締まっていたボルト類が全て緩くなってしまいます

    構造上、本来期待していた強度を発現することが出来なくなってしまうのです。

    屋根断熱には防湿層、屋根通気が必須!

    構造体に影響を与えないように、高温状況を作らないようにするためにはどのようにしたら良いでしょうか。ここで必要となるのが屋根断熱です。

    屋根断熱は屋根裏に断熱をするため、その下の空間の温度上昇が抑えられます。反面、屋根面の熱は屋根自体に蓄えられるか、大気中に放熱されます。ここで、放熱が上手くいかないと屋根自体の温度がかなり上がることになります。

    つまり、屋根に悪影響を与える可能性が出てくるのです。

    これを防ぐためには、屋根通気が必要となります。屋根通気とは以下の絵のように、屋根部分に熱が溜まりにくくするために空気が流れる層を作る事です。

    屋根通気
    屋根通気のイメージ図

    これによって、屋根自体の温度の上昇が20~30℃程抑えられるのです。

    屋根通気層内表面の低放射率化による遮熱効果の検討

    また、屋根断熱とする場合は部屋内側に防湿層を設けることも重要になります。防湿層とは、部屋の中の湿気を屋根の断熱材や構造材に入り込むことを防ぐために、湿気を通さない絵のような防湿気密シートなどを貼り付けることで、湿気を通さないようにすることです。

    これは壁を断熱する場合に防湿層が重要になるのと同じ理由です。

    家の中の湿気が断熱層の外側の高温部分に触れてしまうと、逆転結露と言う現象を起こして、結露を発生させてしまう可能性があります。

    この逆転結露は屋根の内部で発生するため、知らないうちにカビや腐食を誘発し、家自体をダメにしてしまう可能性があります。

    ですので、屋根断熱をする場合は部屋の内側に防湿層を施すか結露計算と言うもので、結露が発生する可能性がないことを確認して計画を行う事が重要となります。

    屋根通気は計算上加味されない

    屋根通気をすると、屋根自体の温度が下がります。屋根の温度が下がると当然屋内の温度上昇が抑えられることになります。

    このため実際には屋根通気をすることによって、冷房費が抑えられると言った効果が考えられるのですが、現状の良く利用される冷房負荷の計算手法においては、この屋根通気の有無による違いは考慮されていません。

       

    しかし、屋根自体の温度が20~30℃程度抑えられることは分かっているので、効果があることは間違いありません。屋根通気は、構造躯体を守ると同時に快適性を得られやすくする手法でもあるのです。

    天井断熱と屋根断熱の併用は可能か?

    結論から言うと、避けた方が良いです。

    何故かと言うとあまり意味が無いからです。

    もし、屋根と天井の両方に断熱をしたとしても、結局は屋根だけで断熱材を分厚くすることと効果に変わりがないからです。

    また、もう一つの懸念点として、小屋裏空間が密閉空間となることです。

    密閉空間になってしまえば、部屋のような用途で使えないのは当然、収納としても役立ちません。結局、小屋裏空間を収納などとして利用する場合は、この密閉空間に穴を空けて出入りする必要が出てきます。わざわざ穴を空けるようなことをするのであれば、最初から屋根断熱として、密閉空間にしなければ良いのです。

    ですので、屋根断熱と天井断熱の併用はおススメしません