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太陽光発電の設置がなぜ義務化されるのか?

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    東京都において、現在太陽光発電の設置の義務化が検討され具体化されてきました。
    反対意見も多数あるようですが、やはり強制されることに違和感を覚える人が多いようです。

    東京都は少しでも疑念を解消して貰おうと、以下のようなサイトにQ&Aを設けていますが、そもそも何故太陽光発電でなければならないのかと言った根本的な疑念には答えていないようです。

    太陽光パネル設置に関するQ&A

    太陽光発電設置 解体新書

    これによると、22年9月には基本方針が発表され、大量に戸建て住宅を建てるハウスメーカーなどの企業が設置義務者となるようです。

    今後、家を含めた建築物に太陽光発電の設置が義務化されるのは東京に限った話ではなく、多くの都市圏で義務化されることとなると予想されます。
    また、そうなれば太陽光発電を設置した方が得になるような税や補助などが拡充することと思われます。
    今回は、何故「太陽光発電」を設置しなければならなくなったのかを解説しようと思います。

    何故東京が先に義務化になったのか?

    東京は人口も多く、建物も密集しています。
    ですので、太陽光発電設置が可能な屋根の面積も広いと言えます。
    このため、2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには今から義務化を行わないと間に合わなくなります。

    今後、30年間の間に東京では約半分の建物が建て替わりその内の7割が戸建て住宅であると試算されています。なので、今の時期から義務化する必要がある。と言うのが東京都の言い分です。

    とはいえ、義務化されるのは住宅を供給する側の企業となります。
    そして消費者側は既に太陽光発電が設置された企業の建物を選ぶか、他の選択肢を選ぶのかは自由とされている点が、義務化と言えど選択が自由になっている点です。

    そもそも何故「太陽光発電」なのか?

    先に紹介した資料には、何故「太陽光発電の設置が必要なのか?」と言う点には触れられていません。
    他にも風力発電もあれば、もっと省エネする方法だってあるはずなのです。
    何故、他の選択肢ではなく「太陽光発電の設置」なのでしょうか?

    一つ目の理由:省エネには限界がある。

    省エネを徹底すれば、太陽光発電など設置しなくても良いのではないか?
    そんな意見も出てくるかと思います。しかし、実際に家の中で出来る省エネには限界があります。
    どんなに頑張って省エネをしたところで、利用する電力をゼロにすることは出来ません。
    昨今の暑い夏に冷房無しで過ごすことなどはもってのほかです。(風通しがとてもよい郊外などでは別ですが。)

    つまり、省エネには限界があるのです。

    ZEH(ゼッチ)と呼ばれる、ゼロエネルギー住宅の基準においても、省エネを考えない一般住宅に比べて、2割程度省エネが出来ればZEHと認められることになっています。もちろん、頑張れば2割以上の省エネは可能なのですが、それでも出来て半分とか6割程度までです。

    そもそも、冷蔵庫を止めて過ごすわけにはいかないし、今の時代にパソコンやスマートフォン、インターネット無しで過ごすことは極めて難しく、寧ろ危険な訳です。

    なので、省エネで賄えない分は自力で発電する”創エネ”より他に無いのです。

    二つ目の理由:他の創エネ設備ではダメなのか?

    創エネ設備で代表的なものは太陽光発電です。しかし、この他にもいくつかの創エネ設備があります。

    例えば、エネファームと呼ばれるガスで電気を発電できる機器があります。こちらも電気を発電すると言う意味では創エネ設備です。しかし、このエネファーム。根本的にはガスを利用するのでカーボンニュートラルに出来ないのです。

    他にも太陽熱温水器があります。こちらも太陽の熱を取り込んで、宅内で利用するお湯と言うエネルギーに変換していると言う意味では、創エネと言っても良いでしょう。この太陽熱温水器は太陽光発電に比べると遥かに効率がよく、かなり良い創エネ機器です。でもダメなのです。太陽熱温水器ではカーボンニュートラルには出来ません。だって、お湯しか作れないのですかから。お湯に必要な分は、屋根の面積を太陽熱温水器のパネルにすることは、創エネ上理想ですが、全部を太陽熱温水器にするわけにはいきません。

    太陽熱温水器はかなり効率は良いがこれだけでは役不足・・・

    この他にも風を利用して発電する風力発電は、再生可能エネルギーといって、二酸化炭素を発生させない発電として太陽光発電に並んで有名です。ただ、これで全ての電力を賄うとなると相当大きな風車が必要になります。割と小さ目の風車でも、回すともの凄い風切り音がするのでやはり戸建て住宅にはてきしません。

    建物に設置された風車。実際には物凄い音がする。

    この他にも地熱を利用したヒートポンプと言う仕組みも考案されていますが、費用がとんでもないことになります。

    結局、住宅でカーボンニュートラルを実現するために適した創エネ設備は太陽光発電しか無いのです。
    「太陽光発電」が設置の義務化されるシンプルな理由としては、他に方法が無いからなのです。

    戸建て住宅を義務化にする必要はあるのか?

    さて、もっと根本的な疑問として、そもそも戸建て住宅をZEHやカーボンニュートラルの対象にする必要があるのでしょうか?

    実は省エネ化は、我々普段の生活以外にも徹底して進められています。特に企業や運輸が担っている省エネ化は結構進んでいます。

    現在、問題になっているのは普段の生活における省エネ化が進んでいないことです。
    つまり、我々の普段の生活においては相変わらず電気を使い続けていて、寧ろその消費量は増え続けていた位なのです。

    よく、太陽光発電設置の義務化によって「自由が奪われる!」と声高に叫んでいる批評家の方がいますが、「今まで知らず知らずのうちに自由にやりすぎた」せいで、「我々の子供や子孫、その先の自由を奪いすぎている!」と言うのが現実なのです。

    東京都の試算においても太陽光発電の設置では、30年程度で元が取れる事となっています。
    我々大人が自分の自由を主張するのではなく、自分たちの子供や子孫の自由のために太陽光発電を設置すると言うのは如何でしょうか?

    そもそも家を建てるのは、子供や家族のためだったりしませんか?