体に優しい(!?)寝室環境の話:夏編
蒸し暑い夏が過ぎ、涼しく比較的眠りやすい時期がやってきました。
しかしなぜ、こんなに季節に因って寝やすさが変わるのでしょうか?
これは、G2の住宅であれば変わるのでしょうか?
今回はそんな寝室環境についてお話をさせて頂きます。
季節に因って異なる、快適な環境
私たち日本人には、四季があります。冬は寒く、夏は暑い。そして春と秋にはその中間の季節がやってきます。温暖化によって、この中間の季節がかなりあいまいになってきていますが、我々はこの中間の季節において、次の季節に対応するべく、体の温度に対する反応を調節しています。季節に因って服装が変わるのも、理由の内の一つですね。
ですので、快適な寝室環境季節毎に異なることが普通です。
特に夏と冬では体の反応が正反対となることもあるので、その季節季節に合った寝室環境を意識することが重要です。
快適かどうかを判定するのはあなた?
喫煙者であれば、割と分かりやすい話かだと思いますが、タバコを吸っている間はその人は気分が良く、気持ちの良い状態となります。しかしこれは、体にとって良い状態かと言うと決してそうではありませんよね。
このように、体にとって本当に快適な状態なのかどうかを自分自身で自覚することはなかなか難しいと言えます。(恐らくこれは、人間は大脳が発達したことによって、体の純粋な反応とは別の意識が働くことによるものと考えらえます。)
では、どうやって判断するのか?
それは、人間の生体情報で判断することが重要になります。
特に人間の生体情報の中で、体の良好さ加減を表す指標として利用されているのが、「自律神経の活動状態」です。自律神経とは、人間のあらゆる自発的な動き(心臓とか呼吸とか)を制御している神経で、この活動状態が良好であることが、身体にとって良い状態と言われています。
自律神経が良好な状態とは?
自律神経が良好な状態とはどんな状態なのか?
簡単に判定する方法としては「平均心拍数」が挙げられます。
最近では、FITBITなどのスマートウォッチを利用すれば簡単に計測することが可能です。
RHRとして表示されることが多いこの指標ですが、これが低ければ低いほど良い状態と言えるのです。
そして、寝室において睡眠をとっている状態。この状態においても同じことが言え、寝ている間の心拍数(SHR)が低ければ低いほど、体の状態が良好と言えます。
夏場に体が喜ぶ寝室環境とは?
体にとって良好な温度環境とは?
夏に体が喜ぶ寝室環境として、まずは挙げられるのが寝室の温度の状態です。
夏の場合、暑ければ暑いほど心拍数は高くなり、不快な状態となります。
ですので、温度についてはなるべく低くしてやる方が体にとっては良好な状態となります。
<参考>夏季における温熱環境が睡眠中の平均心拍数へ与える影響
それでは、何度程度まで下げるのが体にとって良い状態なのでしょうか?
その謎を解き明かしたのが以下の文献になります。
これはあくまで、日本の一般的な地域に住んでいる、太っても細すぎてもいない20代男性の結果です。
この結果を参考にすると、25℃付近が一番体によって良好な状態であることを示しています。
ここで注意が必要なのは、これは室温だけの話ではなくて、放射温度と呼ばれる温度も同時に25℃であることが重要という事です。
放射温度とは、床や壁、天井や窓の表面の温度が体に与える影響温のことです。
イメージとしては、冬場に窓に近づくと冷たい感覚を受けると思います。
あれが、窓の表面からの放射温度による影響なのです。
室温と放射温度を適正に保つには?
室温を25℃に保つためには、エアコンによって冷房することで室温を下げることが可能です。
これに対して放射温度はどうでしょうか?夜なので、太陽の光の影響は受けていません。
しかし、近年は夜でも外の気温が高く、酷い時は30℃近い状態が続きます。
この熱が家の窓や壁の温度を上げ続けると、放射温度はどうしたって下げることが出来ないのです。
そこで、重要になるのが「断熱」です。
要は、暑い夏の夜において外気温の影響を受けないようにしてやると良いのです。
ですので、断熱することで放射温度を低く保つことが可能です。
この場合、最も大切なのが「窓の断熱」。窓は家の中で最も熱を通しやすい場所になります。
ですので、窓こそ断熱性能の高いものを利用すべきなのです。
理想的にはトリプルガラスになっている樹脂サッシが理想です。
これによって、夜間でも体にとって良好な寝室環境とすることが可能なのです。
温度以外の環境については?
温度以外にも湿度や二酸化炭素濃度、照度といったファクターも実際には体の良好な状態を保つには考慮する必要があります。
ただ、夏の場合は体に対して温度による影響があまりに大きいため、温度以外の要素が体に影響するといったことがあまりありません。
25℃の環境であれば汗をかくことも殆どなく、蒸し暑いと感じる事も殆ど無いと考えられます。
ですので、夏の寝室環境では、室温を適切に保つことが一番重要なのです。
25℃は寒すぎないか?
室温を25℃にするために、エアコンの温度設定を25℃にするとこれはNGとなる可能性が高いです。
何故ならば、エアコンは25℃にするために、25℃よりも遥かに低い温度に冷やした空気をエアコンの本体から排出しています。
そして、一般的なエアコンであれば本体に戻ってきた空気が25℃を下回っているかどうかで、その部屋の温度を判定します。実際にエアコンが25℃と判定した状態になった場合、G2などの高断熱住宅の場合であれば、25℃以下の室温となっていることが多いです。
ですので、エアコンの設定温度はせいぜい28℃程度にしておくことが非常に重要です。
一晩の室温は、一定よりも変化する方が良い
これまでのところ、一晩の平均的な温度設定の話をしてきました。
しかし、実際には一晩のなかでも温度は変動する方が良いのです。
実際には7時間程度眠る場合、最初の3時間半程度は温度が極力下がる方が良いです。
ここから一定の温度を保ち、目が覚める2時間程度前からは温度が徐々に上がっていく方が良いのです。
この辺の温度設定に関しては、一般のルームエアコンで行う事が難しい場合が殆どです。
しかし、これらの制御が可能であればよりよい睡眠状態を保つことが可能なのです。