将来的に日射量が激増する?

2025年の6月は全国的に観測史上最も暑い6月を記録したそうです。温暖化が進むと、夏の暑さが酷くなるだけでなく、暑い期間も長くなります。その意味で、冷房が効きやすい高断熱住宅は必須になると考えられます。しかし、今後考え方をもっと柔軟にしなければならなくなってきているのがパッシブ設計です。
何故かと言うと、今後の気候変動においては、どうやら日射の量にも変化がありそうだからです。
2060年には日射が倍増する??

このグラフを見て貰いたいのですが、グラフ内の濃い青色は2011年~2021年の10年間において標準的な気候の場合の日射量です。オレンジ色が2060年に予想されている、日射量となります。
この予想を見ると9月の日射量は現在一番日射量の多い6月並みとなり、10月においてもそれに匹敵する程度の日射量となっていることが分かります。
将来予測には様々な種類があり、このMet.boxにおいても3種類ほどの予測が提示されていますが、どの予測においても将来的には日射が増えると予想されています。
この主な原因については、予想毎に原因が異なるのですが、概ね地球温暖化による影響と、地球温暖化を防ぐための対策によってもたらされるとされています。
また、恐ろしいのは7月や8月の日射量の増加です。日によって異なりますが、倍程度の日射となる日が何日も続くことになります。
将来的には今以上の日射対策が必要となることは間違い無さそうです。
将来的にはアウターシェードが必須になる?
現在のパッシブ設計などは、秋や春には温暖な気候、日射になる”今”の気候が前提となっています。
ですので、これらの季節には太陽からの日射が窓を通して家の中に入って来ることは一般的に許容されています。(もちろん、設計者の思想によって異なります。)
ですので、南側の窓には庇やそれに代わるバルコニーなどを設置して、6月~8月程度までの日影であるように設計されていることが殆どです。
ですが、30年先の未来では9月や10月でもまだ暑く、どの窓面においても日射をなるべく避けたい。と言う気候に変わっていきます。
このような状態に変わってくると従来のパッシブ設計で最適だった計画であっても、将来的には不快な状況を生み出す計画になってしまう可能性が出てきます。
そこで、将来的な変化を見込んだ”対策”をしておく必要が出てきます。
この対策として、最も簡便で現実的な対策としては、窓の外側にアウターシェードなるものを設けることです。アウターシェードとは、こちらの記事でも紹介しているように、窓の外側に設けるシェードのことです。

現在のパッシブ設計では、南側は太陽の日射を採り入れるために、シェードを利用しないことが多いのですが、今見てきたように2060年の将来では、9月や10月に南側でもシェードを利用した遮熱が必要になってきそうです。
南側のシェードの設置には工夫が必要
上の絵を見て貰えば分かりますが、一般的にはシェードの大きさは窓の横幅とほぼ同等か、微妙に大きい場合が殆どです。
しかし、今後日射を防ぎたい範囲は更に広範になっていき、出来れば朝や夕方に南側の窓から入ってくる日射も防ぐ方が良くなるでしょう。そうなると、今のシェードの幅では横から入って来る日射の影響を大きく受ける可能性すら出てきます。
その意味で、シェードが窓のサッシに取り付くタイプのシェードはお勧めではありません。
もし取り付けるのであれば、壁に取り付けるタイプで窓よりも幅が広いものを取り付ける方がより効果が高くなります。
出来れば新築の際に設置しておきたい。
とはいえ、今までの話は30年先の未来の話です。
ですから、日射が今年や来年に急に増える訳ではありません。
では、現時点ではアウターシェードは不要なのでしょうか?
実際には予算が許せば、アウターシェードを設置しておくことがお勧めです。
何故なら、多くのアウターシェードは後から設置する場合には壁に穴を空ける必要があるからです。
ホームセンターで販売されている簡易なシェードは、金物に引っ掛けるタイプのものがありますが、このような簡易なものの場合、台風などが来るたびに取り外すなどの準備が必要です。
この意味で、事前に準備できるのであれば今からアウターシェードを設置する検討を行っておくことも大切な検討事項となります。