バルコニー不要論 高断熱住宅での新しい考え方
バルコニーって本当に必要?
唐突な質問ですが、バルコニーは本当に必要でしょうか?
今の家でバルコニーに出るのはどういった時ですか?
ここで言うバルコニーは、2階以上の階数にある外部の空間を指します。
今回はこのバルコニーについて、高断熱住宅での新しい生活において本当に必要なものなのかどうかを改めて考えてみたいと思います。
昔ながらのイメージ:バルコニーの役立つ場面
バルコニーと言えば、そこで何を行いますか?従来のバルコニーの活用方法を思い返してみて下さい。
例えば、次のような活用がされていたと思います。
①洗濯物を干す場所としての利用
②布団を干す場所としての利用
③タバコを吸う場所としての活用
④椅子などに座って、ゆっくりする(夕涼み等)場所
⑤プランターなど植栽を置く場所
これら以外にも多くの利用方法があるかもしれませんが、代表的なところで言えばこんなところでは無いでしょうか?
バルコニーという選択:メリットとデメリット
次にバルコニーを計画することによって、考えられるメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
バルコニーのメリット
・屋内で出来ない活動が半プライベート空間で可能である。
これは、先に挙げた洗濯物干しや、植栽などもありますし、場合によってはBBQやおウチキャンプなどの屋内では出来ない活動を行うことが可能です。
・アウターバルコニー(持ち出しバルコニー)の場合、下の階の庇の代わりに使える。
これはパッシブデザインなどで、窓に日影を作りたい場合などに役立ちます。ただ、バルコニー本来の機能ではないため、付加的なメリットとなります。
バルコニーのデメリット
・メンテナンスが必要になる
これが恐らくバルコニー最大のデメリットです。特にインナーバルコニーの場合はこのメンテナンスを怠ると、雨漏りの危険性が高まります。ですので、もしバルコニーを計画する場合はメンテナンスがどの程度の頻度で必要なのか?それに係る費用はいくらなのか?を事前にチェックしておくことがお勧めです。
・バルコニー設置にも費用が掛かる
意外にもあまり意識していない人が多いのですが、バルコニーの設置にはかなりの費用が掛かります。実際に上部が屋根で覆われるわけでなくても、バルコニーには特有の床の防水が必要となり、これには普通に屋内の床を施工するよりも多額の費用がかかります。ですので、バルコニーは結構費用がかかるものだと考えておいて下さい。
・インナーバルコニーの場合、屋内が狭くなる
そして、お金が掛かる以上、本来部屋にしておけばその分広かったであろう屋内空間も、その分単純に狭くなったと考えて差支えないでしょう。
冷暖房効率の向上とバルコニーの関係
インナーバルコニーの場合、バルコニーは下の階の屋根に相当します。
ですので、通常は屋根と同等かそれ以上の断熱をすることが望まれます。
しかし、実際には壁と同等程度の断熱しか無かったたりすることがあります。
また、本来屋根の場合、屋根通気と言うものを確保することが暑さ対策には有効です。
しかし、バルコニーの場合はこの屋根通気に相当するものが無い場合が殆どで、このバルコニー部分のみ、夏場暑くなりやすいです。
これらのため、バルコニーがあると若干ではありますが、快適性を損ない、冷暖房効率も若干悪くなってしまいます。
高断熱住宅におけるバルコニーがない生活の実例紹介
高断熱住宅の場合、もしバルコニーが無かったとするとどんな生活になるでしょうか?
最初に挙げたバルコニーの用途①~⑤のそれぞれについて、一体どうなるのかを見ていきましょう。
室内干しの快適さ:湿気や花粉の悩みを解消
最近では花粉症に悩む人が増えてきました。ですので、洗濯物を屋外に干すと衣服に花粉がつくという事で、屋外での物干しを望まない人も増えてきています。
高断熱住宅の場合、特に冬場は乾燥しがちですので、濡れた洗濯物を屋内に干すという事は寧ろ望まれることになっています。
実際にバルコニーに割くスペースがあるのであれば、屋内に物干し場所を確保したいと言うケースが増えてきています。
布団についても同様に、花粉やPM2.5などがつくくらいなら、専用の布団乾燥機などで済ませてしまうケースが増えてきています。
喫煙する人の居場所は?
高断熱住宅の場合、屋内でタバコを吸う事はもってのほかです。
屋内でタバコを吸う事で、この煙が換気扇を循環し、屋内にばら撒く危険性があるからです。
とは言え、このためだけにバルコニーを設けることは正直ナンセンスです。
新幹線のようにもしタバコを吸う場所の確保が必要なのであれば、完全な独立した小さなスペースを確保する方が良いでしょう。
植栽を楽しむには?
植栽を本気で楽しみたい場合は、バルコニーで植栽をするよりも1階の屋外の方が適しています。
もちろん、日当たりの関係でバルコニーでしか植物の成長が望めない場合はこの限りではありません。
しかし、雨漏りやメンテナンスのことを考えた場合は、普通に地面にて植栽を育てることが好ましいことです。
また、観賞用として緑が欲しい場合は、屋内に観葉植物を設置するとその代替えになります。
但し、先ほども触れたように冬場は乾燥しがちなので、乾燥に強い観葉植物が望ましいです。
以下に例を挙げておきます。
他にも乾燥に強い観葉植物は沢山あります。また、これらが枯れないことも約束は出来ませんので、あくまで参考として下さい。
乾燥に強いとは言え、水をやらないと枯れてしまいますので注意が必要です。
夕涼みの場所はどうする?
屋外でのんびり椅子に座って過ごしたい。あるいは夕涼みを楽しみたい場合はどうすれば良いでしょうか?
1階で屋外に出るには、庭が狭い。または出れても人目が気になるなど、色々な理由で1階の屋外利用は難しそうです。とすると、やはりその場合はバルコニーが必要になるでしょう。
つまり、生活スタイルとしてそのような時間を確保することがとても重要で、頻度も高いようであれば是非ともバルコニーの計画を考えてみて下さい。お勧めは夏でも快適に過ごせるように屋根で覆ったバルコニーとすることです。
まとめ
バルコニーは今までの新築住宅であれば必ずと言って良いほど設置されてきました。
しかし、花粉症になる人が増えてきて、PM2.5による健康被害が判明してきた現在、高断熱住宅であれば、バルコニーが無い生活も十分に可能であることが分かってきました。
もしこれから新築の計画をするのであれば、その必要性について一度検討してみて下さい。