近未来の太陽光発電:ペロブスカイト太陽電池
ペロブスカイト太陽電池と言うものの名前を聞いたことがありますか?
現在、開発中の太陽光発電ですが、2025年に開催される大阪万博ではこのペロブスカイト太陽電池を利用した、パビリオンも用意されています。
開発者が日本人の科学者という事もあり、現在注目が集まっています。
今回は、この太陽電池の将来的な利用方法についてです。
※2025年1月現在、一部の中国メーカーによって、実用化されているようですが、住宅の新築計画時にはまだ利用することは出来ません。
ペロブスカイト太陽電池って何?
従来の太陽電池(シリコン系)との違い

一般的に知られている太陽電池は、シリコンという素材を使ったものが主流です。シリコン系太陽電池は高い効率と耐久性を持っていますが、製造コストが高く、硬くて重いというデメリットがあります。
一方で、ペロブスカイトは日本で採れるヨウ素が原材料となっていて、太陽光発電に比べて製造工程がシンプルと言う特徴があり、製造コストが大幅に削減できる(従来の3分の1~5分の1程度)と言うメリットがあります。また、従来の太陽光発電よりもかなり軽量で、建物の耐震性能上も有利な太陽光発電となります。
ペロブスカイト太陽電池の特徴
軽量:ペロブスカイト太陽電池は非常に薄く、軽量です。
従来の太陽光発電の25分の1程度の重さです。
柔軟性:薄い上に柔らかく曲がりやすいパネルです。
このため、さまざまな場所への設置が可能となります。
省エネ性:発電効率は従来のものと同程度と言われています。
ペロブスカイト太陽電池のメリット
デザイン性に優れる(カラフルで透明な選択肢も)
従来の太陽光発電パネルでは無かった、黒、赤、黄色、オレンジ、透明など、色々な色で作成することが可能で、様々なデザインが可能です。
環境への配慮(製造過程での省エネ)
ペロブスカイト太陽電池では、従来のものと比べて製造時に必要なエネルギーもかなり低くて済みます。現状の太陽光発電は、自身の製造じに発生するエネルギー分を取り返すために、5年は必要と言われています。
これが1年以下に短縮される可能性が秘められています。
弱い光で発電可能
ペロブスカイトでは、従来の太陽光発電では発電出来なかった明るくない光でも発電が可能です。
例えば、曇った日や照明などでも発電が可能となり、しかも明るく無くても発電効率が殆ど下がらず、寧ろ上がるといった報告もあります。
年中安定した発電が望めるかもしれません。
住宅向けに最適な理由
屋根や壁への設置が容易
従来、太陽光発電はある程度の重量があるため、後からリフォームとして取り付ける際には、重さによる耐震性能の低下のリスクがありました。
しかし、軽量で柔軟性のあるペロブスカイト太陽電池であれば、重量による耐震性能の低下は殆ど気にする必要が無くなります。(あまりに古い建物は別です。)
軽量であることで、設置についても工事が容易になる可能性も高くなり、施工コストも下がることが考えられます。
窓ガラスとしての利用
ペロブスカイト太陽電池では、透明なパネルを作成することが可能です。
この特性を活かせば、窓ガラスに設置することも可能となり、今まででは考えられない位の沢山の発電が可能となるかもしれません。
屋内設置も可能??
ペロブスカイト太陽電池では、照明下でも発電が可能とされています。
もちろん、太陽光による発電に比べると僅かな発電しかできません(0.1%程度)が、何かしらの用途に使える可能性はあります。
課題と今後の展望

耐久性や長期使用の課題
実用化に向けては、まだ耐久性が足りないとされています。
現状、20年以上の耐用年数を目指す開発が行われていますが、
現状の太陽光発電であれば、20年の発電を保証で約束するものもあります。
ここから比べると、まだ実際の利用に耐えうるとは言い難い状況ですが、フィルムを付けるなどして長寿命化の取り組みが行われています。
健康リスクやリサイクルの問題
ペロブスカイト太陽電池では、鉛が利用されます。
この鉛は健康リスクがあるとされていて、再利用も難しく、廃棄においても環境負荷増大の懸念があります。このため、鉛に変わる素材の研究が進められています。
まとめ
現状、実用化段階には行ったっていませんが、将来的には様々なメリットが考えられるペロブスカイト太陽電池。軽量や柔軟性が高いことを考慮すれば、後からリフォームとして設置することは十分に可能であると考えられます。
また、住宅用途にはまだまだ費用が高いと予想されますが2025年を目途に実用化を目指している日本企業もあります。動向に注目しておくのも良いでしょう。