日中の家の明るさを確保するには?
近年、高断熱化が当たり前になってきたことによって、住宅に設置される窓の大きさが小さくなる傾向にあります。窓は熱を通しやすい部分なので、高断熱化の意味ではとても意味のあることなのですが、反面、日中の家の明るさが確保され難いという欠点もあります。
そこで、Heat20という学識者で組織されている団体が、日中の明るさの確保に関する基準を設けました。今回はその基準の内容について、解説していこうと思います。
これから、家を計画する際の参考にして貰えたらと思います。
目標となる”空間の明るさ”
通常、明るさを検討する場合は、床面の明るさを基準にする場合が多いです。
しかし、Heat20で新たに設定された明るさの基準は、”空間照度”という新たな基準となっています。
空間照度は、字のごとくその部屋の実際に目で見える明るさを指します。
具体的には、「部屋の中央の床から150cmの場所から水平に視線を向けた場合の鉛直面の照度」を指しており、実際に人間が感じる明るさに近い値となっています。
この空間照度について、設けられた最低限の明るさは50ルクスです。
これは部屋全体の明るさを保つためのベースとしての最低限の明るさで、窓から入ってくる太陽光の明るさによって確保することを目指します。
ここで、注意が必要なのは読書や作業などを行う場合は、この明るさでは不足するため、別途照明器具で補う必要があります。
空間照度を確保するための2大手法

空間照度を適切に保つために、大きく2つの方法によって明るさを確保します。
一つは「入ってくる明るさの確保」で、もう一つは「入った明るさを保つ」方法です。
具体的に見ていきましょう。
窓からの明るさを確保する方法
日中の部屋の明るさを確保するには、太陽の光を如何に取り入れるかが大切です。
この太陽の光を取り入れるにあたって、工夫すべき点が5つほどあります。
それが、
①周囲の建物や障害物の影響を考慮する。
②窓で光の通りやすさを調整する。
③窓自体の大きさを工夫する。
④部屋の大きさを考慮する。
⑤窓を複数設けて、明るさを調整する。
です。
周囲の建物や障害物が十分に離れている場合は、1階でも2階でも窓から入る明るさはさほど変わりませんが、建物や障害物が近くにある場合、1階に入る明るさが極端に減ってしまいます。
ですので、周囲の建物や障害物が近い場合は、特に明るさの確保に注意する必要があり、これから紹介する工夫を取り入れると良いでしょう。
窓ガラスは、種類によって明るさの通りやすさが異なります。
また、カーテンなどの付属部材がどんな物かによっても異なります。
同じカーテンでも、遮光タイプとそうでないものとでは、光の通りやすさが全く異なるので、注意が必要です。
また、窓のガラス部分の大きさも重要です。単純にガラスの部分の大きさが2倍になれば、明るさも2倍となります。しかし、窓は大きくすればするほど、断熱性能が落ちるため、最適な大きさにする必要があります。
また、同じ大きさの窓があっても、部屋が大きければ大きいほど、空間照度は暗くなります。
ですので、大きな部屋にはより大きな窓が必要となります。
また、窓を大きくする他に、窓を複数設けることでも空間照度は明るくできます。同じ大きさの窓を2枚設ければ、明るさも2倍となります。
内装の色によって明るくする方法
窓から入ってきた明るさを確保する方法としては、内装に利用するクロスや床の色を工夫することです。

こちらの2つの画像を見てください。画像右手にある壁の色が異なるだけです。
どちらのほうが空間照度が高いと言えそうでしょうか?
反射率の低い、黒いクロスを利用している右側の画像は、左の画像に比べると暗く感じるのではないでしょうか?
このように内装に利用するクロスや床などは、色によって反射率が異なります。
この反射率を工夫することで、その空間の明るさを変えることができるのです。
例えば、床のブラックなどの暗い色であれば、反射率は10%程度しかありません。
これに対して、白っぽい色の床やクロスは80%もの反射率があります。
ナチュラル色と呼ばれるものだと、大体50%程度の反射率です。
空間照度の計算方法
ここからは、あまり一般の人向けではありませんが、空間照度を求める方法を記載しておきます。
窓から入る光の量
窓から入る光の量をXとすると、
X=1㎡あたりの採光量(ルーメン)×窓のガラスの面積×ガラスの可視光透過率×付属部材の可視光透過率
となります。可視光透過率は、カタログなどに載っている値となります。
部屋の空間照度Ev
まずは先程のXから、
全ての窓のXの合計÷その部屋の床面積=床面積1㎡あたりの部屋全体の採光量
そして、次の式が少し複雑です。
Rをその部屋の内装全体の反射率、Cは窓が南の場合は-0.38、南以外の窓の場合は-0.28として、
Log(面積1㎡あたりの部屋全体の採光量)×0.91+0.42×R+C = Log(空間照度Ev)
となります。Logと言う、対数が出てくるので、暗算では計算不可能ですね。
これで求めた空間照度Evが50以上であれば、OKとなります。
計算した例
8畳の部屋に、一般的な窓(幅1.65m、高さ1.3m、ガラスの透過率70%、レースカーテンのみ)が南向きにある部屋で、南側の隣の家が1mほどの距離にあり、内装はナチュラル色を計画する場合、空間照度Evは29ルクスとなります。
ですので、窓1枚だけだと、50ルクスには届かないことになります。
ここから、窓を大きくするのか、窓を追加するのか、内装をもっと明るくするのかなどの工夫を行うことになります。
ただし、この例では隣の家が極端に近い場合です。距離がしっかり離れていれば、50ルクスを下回ることはあまりありません。
まとめ
空間照度自体の計算は、それほど難しいものではありませんが、素人の人が計算するとなると、割と困難かもしれません。特に隣の家がとても近い場合は、基準をクリアできないケースがあります。
ですので、隣の家が近い場合(1m以下)は、空間照度自体を計算してもらうことで、最低限の明るさを確保して貰うと良いでしょう。



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太田(健康・高断熱住宅専門家)