部屋が蒸し暑いのはなぜ?打ち水で涼しくする方法とは違うの?
はじめに:部屋の蒸し暑さと打ち水に対する一般的な認識
みんなが感じる部屋の蒸し暑さとその原因
「打ち水」と聞けば、夏場の暑さ対策として水を撒いて涼を採るイメージでしょう。
その割に、家の中では蒸し暑くて仕方が無いことが多いと思います。この蒸し暑さの原因も水です。
この違いは、一体何なのでしょうか?
一つのヒントは、打ち水は主に屋外で行われている。
蒸し暑さは、外で感じる事もあるものの主に家の中等の屋内でより感じやすい。
と、言うところにあります。
要は部屋の中で蒸し暑くなるのは、「相対湿度」と言うものが高いからです。
よく、湿度○%などと言いますが、これが高いと相対湿度が高いと言い、蒸し暑く感じるのです。
ただし、蒸し暑いと感じるのは普通は夏に限られますよね?なので、湿度が高いだけでは蒸し暑く感じることはなく、更に温度が高いことも条件に含まれます。
では、冬のお風呂場ではどうでしょうか?
蒸し暑いと感じることはありますか?温度が高く、湿度が高い条件がそろっていてもあまり蒸し暑いと感じる人は少ないのではないでしょうか?
実は、ここら辺のメカニズムについては、現状でもあまりよく分かっていないのです。
とは言え、夏場に限った話であればある程度、快適に過ごすための糸口はあります。
その辺を今回は説明したいと思います。
部屋が蒸し暑く感じる主な理由
窓の開け閉めのタイミング
最近の夏は夜でも暑い場合が多いです。昔は夏でも夜に窓を開けると涼しい外の風が入って来ることも期待できました。今はどうでしょうか?
これを見れば一目瞭然ですが、約50年前に比べて、夜の平均気温は快適とされる28℃を上回っている日が多いことが分かります。50年前は8月中に2日間ほどあるかと言うくらいですが、2022年は少なくとも10日以上は暑くてあけられない日があります。
これを事前に天気予報などでチェックして窓を開けるのであれば、まだ開けることは可能かもしれませんが、最近では湿度も高い日が多いので、夜でも窓を開けて涼しく過ごすことは難しいと言えそうです。
換気と湿度の関係
窓は開けない方が得策のようですが、換気はすべきでしょうか?
近年では新築住宅の場合、24時間換気が動いています。ですので、換気は自動的に行われています。
ですので、換気は必ず必要になります。
ただ、先ほどの屋内より高い温度や、湿度の高い空気はなるべく入れたくありません。
この場合、どうすれば良いでしょうか?
そこで必要になるのが、熱交換換気扇です。詳細は下記で確認して貰うとして、ここで重要なのはこの熱交換換気扇であれば、外の都合の悪い温度の高さや湿度の高さがキャンセルされ、なるべく快適な空気を屋内に導入してくれるという事です。
ですので、部屋の湿度をなるべく低くして、快適に過ごすためには換気扇を熱交換型にすることが重要なのです。
打ち水とは?伝統的な涼を求める方法の実態
打ち水の歴史とその効果
では、「打ち水」について見ていきましょう。
打ち水は元々水を撒いて、水蒸気に変えることで涼を得ています。
これは、何故よいのでしょうか?
打ち水はかなり古い時代から利用されてきました。
我々が若い頃は、運動場に水を撒いて、その上で体育を行うという事がよく行われていました。
エアコンなどが無かった時代にも家の前の道に水を撒いて、打ち水をすると言う事が良く行われていたようです。時代劇のワンシーンでもたまに見かけますよね?
蒸し暑さの原因は湿度が高いことでした。この湿度とは水蒸気のことです。
打ち水は水を水蒸気に変えることで涼を得るのですが、この違いはなんでしょうか?
実は、打ち水は外で行われるので、水蒸気は増えるのですが湿度は殆ど変わりません。
打ち水で水蒸気に変わった瞬間だけ、少し回りの湿度が上がりますがそれも直ぐにおさまります。
これは屋外が広いからで、建物の中のように閉じられた空間ではないため、一時的に湿度が増えても直ぐに拡散され、湿度は元に戻ります。要は水の量が大したことないのです。
そして、打ち水としてばら撒いた水が水蒸気に変わって蒸発すると、その場所は少し冷えた感じがしてヒンヤリ涼しくなります。これが打ち水の効果なのです。
では、何故打ち水は涼を得る事ができるのでしょうか?
打ち水がもたらす涼しさの原理
打ち水が利用しているのは、「水」が「水蒸気」に変わる時に必要な熱エネルギーを利用して涼を得ています。この変化を「相変化」と言います。どこかで聞いたのを覚えている方もいると思います。
この「相変化」には実はかなりの熱エネルギーが必要となります。
そのエネルギーは0℃の水を100℃のお湯に変えるよりも大きな熱エネルギーが必要となるのです。
ですから、液体の水が水蒸気に変わる時、周りの熱をかなり奪って水蒸気に変化します。
ですから、水の周りは冷やされる。
この原理によって打ち水は涼を得ているのです。
よく、水が冷たいから打ち水は良いのだと言う人がいますが、それはほんの一部の効果にしかすぎず、殆どはこの相変化による効果なのです。
打ち水利用の注意点
打ち水は、涼を得るためにはとても効果的です。
しかし、打ち水を利用するためには一つ注意点が必要です。
例えば、雨の時。いくら蒸し暑いからと言って打ち水は不可能です。
何故なら、折角撒いた水も周りが雨であれば、蒸発することなく水のまま残ってしまうからです。
このように、水が蒸発しない、あるいはし難いような天候の時は打ち水は効果が発揮されません。
雨の時の蒸し暑さは、別の方法で解消するしかないのです。
打ち水で部屋の蒸し暑さは解消できるの?
打ち水の効果的な使い方
では、この打ち水を部屋の中で使用することは可能なのでしょうか?
打ち水は、基本的には屋外で使用するものです。
屋外であればいくら水蒸気が出たとしても、殆ど湿度は変わらないため、蒸し暑くなったりしません。
反対に部屋の中で打ち水をする場合は、湿度が変わらないように水を蒸発させてやることが重要なのです。これはなかなか難しい。。。どうすれば良いでしょうか??
実は、打ち水というかこの「打ち水効果」を上手く利用しているのが「エアコン」なのです。
ここでは、詳細な原理の説明は省きますが、エアコンは打ち水の原理を利用したとても省エネルギー性の高い、冷房機器なのです!
ですので、我々人類は古くから「打ち水」の効果の高さを理解し、利用してきており、今でもその「打ち水効果」を利用して、涼を得続けているのです。
まとめ:部屋の蒸し暑さ解消のコツと打ち水の適切な活用法
蒸し暑さ解消には2つのポイントがありました。暑さと湿度をコントロールすることです。
1つは、湿度を上げないように換気をすること。これには熱交換換気扇が最適でした。
そしてもう1つは、「打ち水効果」を利用したエアコンで涼を得ることです。
これら2つを実現することで、夏の屋内の蒸し暑さはかなり防ぐことが可能です。
反対に、現代では窓を開けて涼を得ることはかなり難しくなってきています。
春や秋は別にして、夏の間に窓を開けて涼しく過ごせる日は、年々減ってきているという事を知っておきましょう。