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実績値に基づくゼロエネに必要な太陽光発電の量

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    計算で求めた発電量と実際の発電量の違い

    これから建てる住宅をゼロエネルギー住宅にする場合、BELS(ベルス)と言う制度を利用すれば国が定めた基準値をクリアーしたかどうかで、その住宅がZEH(ネットゼロエネルギーハウス)であることを認定して貰えます。その場合、金利の優遇や補助金を貰えたりとメリットが色々あります。
    しかし、この認定されたゼロエネルギー住宅、本当に利用するエネルギーがゼロになるのでしょうか?

    実は、ZEH認定はあくまで計算上の基準をクリアーしているかどうかのみで認定されます。ですので、この計算値は実際に発電できる量よりも過小(実際よりも少なくなるよう)に計算されています。また、実際のエネルギーの消費量は計算値よりも多くなる場合が殆どのようです。

    ここでは、その実際の発電量に基づいてどの程度の発電容量の太陽光発電を設けると良いのかを目安で考えたいと思います。

    調査で分かっている実際の太陽光発電の発電量

    SIIという機関が長きにわたって調査してきた結果、太陽光発電のシステム容量と実際の発電量との関係が明らかになってきました。

    以下にその表を示します。太陽光の発電量は実際には設置する角度や方角によって変わります。また設置した地域によっても発電量は変わりますが、それらを全て無視した全体の平均値がです。

    システム容量計算上の発電量の平均実際の発電量の平均
    4kwh未満38,02745,193
    4~5kwh未満47,28555,623
    5~6kwh未満56,15565,694
    6~7kwh未満67,00679,275
    7~8kwh未満77,16987,664
    8kwh以上10,816126,706
    表の数値は年間の発電量で、単位は【MJ/戸・年】

    上の表で、システム容量とは大体の太陽光発電の発電能力を表す数値です。普通の打ち合わせでは、このシステム容量を目安に打ち合わせが進んでいるはずで、一般の施主さんであればこの値を事前に耳にしているはずです。

    そして、表を見て分かるのはどのシステム容量においても、約10,000【MJ/戸・年】ほど、計算値と実際の発電量に違いがあることが分かります。

    計算値よりも大きくなる実際のエネルギー消費量

    続いて、家の中で実際に消費されるエネルギー消費量についてです。
    こちらも、事前に計算によって消費されるエネルギー消費量を計算するのですが、こちらにおいても計算値と実際の値では違いが出てきます。ここでは、G2性能付近の状況について見てみましょう。

    本来であれば、居住者数や家の大きさによってもこの値は変わるのですが、ここでは4~7地域と呼ばれる気候条件の全体の平均値を表しています。

    Ua値計算上のエネルギー消費量実際のエネルギー消費量
    0.40~0.5065,65370,987
    表の数値は年間のエネルギー消費量で、単位は【MJ/戸・年】

    上の表を見ると、実際のエネルギー消費量が約5,000【MJ/戸・年】ほど多くなっていることが分かります。実は、この消費されるエネルギー量の増加の原因は、エアコンや換気扇の使用によるものではなく、殆どが冷蔵庫やPCなどの家電によるものだと分かっています。ですので、一般の家庭では想定されている家電の使い方を遥かに超えて、家電を利用している実態が浮き彫りになっています。

    想定される実際のエネルギー消費量

    それでは、ここから家の大きさや家族の人数によって想定される、実際のエネルギー消費量を予想していきたいと思います。予想には、上の表で利用したUa値が0.40~0.50の時の実際のエネルギー消費量70,987【MJ/戸・年】を基に計算しています。ただし、下記の計算は大阪などの6地域と呼ばれる気候条件を想定していて、山の上の寒い地域や、和歌山などにおける暖かい地域は想定していません。

    まずは、Ua値が0.40~0.50の時、6地域のみの実際のエネルギー消費量を予測すると、70,502【MJ/戸・年】と計算出来ます。(計算方法は割愛)

    延べ床面積2人3人4人5人
    120㎡未満59,97466,14569,32178,510
    120~160㎡67,56574,51678,09588,446
    160~200㎡81,17189,52293,822106,257
    人数は居住者数で、単位は【MJ/戸・年】

    これは、実際のエネルギー消費量から予想した、居住人数や家の延べ床面積毎の消費量です。

    実際に必要な太陽光発電の容量予測

    以上から、実際のエネルギー消費量から予想した必要な太陽光の容量を出してみましょう。

    延べ床面積2人3人4人5人
    120㎡未満5~6kwh未満5~6kwh未満6~7kwh未満6~7kwh未満
    120~160㎡6~7kwh未満6~7kwh未満6~7kwh未満8kwh以上
    160~200㎡8kwh以上8kwh以上8kwh以上8kwh以上
    人数は居住者数で、単位は【MJ/戸・年】

    上のグラフが実際のエネルギー消費量と実際の太陽光発電による発電量から試算した、G2性能住宅で、大阪などの6地域に家を建てる場合の、ゼロエネルギーとするために必要な太陽光発電のシステム容量です。ただし、屋根が東西や北を向いている場合や、4寸の屋根から極端に傾斜が異なる場合には更に増やす必要があるかもしれません。

    しかし、目安として貰うためには十分だと思いますので、太陽光発電システムを載せて実際にゼロエネルギーとしたい場合の参考として下さい。
    ※ただし、極端に家電を使用する場合はこれでもゼロにならない可能性もあります。