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高断熱住宅で、一番快適な温度や湿度は?冷房編

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    前回は冬場において、何度の温度環境が良いのかをPMVと言う指標を使って求めました。

    高断熱住宅で、一番快適な温度や湿度は?暖房編

    今度は夏場を想定した場合、何度位がよいのかを確認してみましょう。

    PMVとは何かについては、前回のブログで説明しましたが、温度や湿度、風速と着ている服の量、その人がどのような行動をしているのかを入力して求める値です。0に近いほど快適と言われていて、夏の場合だと数字が大きい程暑いという指標です。
    もう少し詳しく知りたい場合は、前回のブログも合わせて読んでみて下さい。

    高断熱住宅で、一番快適な温度や湿度は?暖房編


    理想の温度や湿度:高断熱住宅での適切な温湿度

    夏季の理想的な室温

    まずは、夏場の屋内での服装を想定しましょう。殆どの人が半そでのTシャツなどの薄い服装で、今回は夏という事で半ズボンを想定します。

    この場合、服の断熱性能を表す指標のCLO値で0.3程度となります。

    また、人は座っているのか、立っているのか、歩いているのか、掃除などの何か作業をしているのかによって、暑さ・寒さの感じ方が変わります。これを代謝量という指標で数値化します。家の中では、座っている時間が長いと思いますが、家事をしている時間が長いこともあるかと思いますので、今回はこの2つの代謝量を想定して、58.2と99.3(W/m2)とします。

    また風速については、扇風機を想定しても良いのですが高断熱住宅の場合であれば、エアコンの冷房だけで十分に生活可能です。また、エアコンも1軒の家で1台だけ稼働させることになるので、気流を感じることは殆どありません。ですので、0.02(m/s)としておきます。

    夏の場合は近年の温暖化の影響で湿度が上がり続けています。このことを考慮して湿度は少し高めの65%程度とします。

    温度については、2つ考えなければなりません。それは室温と周囲の床・壁・天井などの表面の平均温度(これを平均放射温度と言います。)で、この2つがどのような状態であれば理想的なのかを考えたいと思います。G2性能の高断熱住宅の場合は、室温と平均放射温度は殆ど似たような値になるので、これを同じ値になるとして考えます。(窓はトリプルガラスが前提です。)

    COOLBIZの場合は?

    夏場のエアコンの設定温度については、環境省が「COOLBIZ」という運動を行っていて28℃設定が良いとしています。夏場の場合、エアコンの温度設定に対して、G2性能の住宅においてもさほど室温と平均放射温度が違うと言ったことは起こりません。

    <参考>G2高断熱住宅における夏の室内温度の調査結果

    ですので、室温と平均放射温度を28℃として計算すると、

    座っている状態の場合:PMV 0.60
    軽く歩いている状態の場合:PMV 1.41

    座っている状態でも少し暑く感じるようで、歩いたりそれ以上の作業をするとなると、それなりに暑く感じるようです。
    とは言え、COOLBIZで省エネに協力するのであれば、この程度の温度設定が良いと思います。

    PMVが0になる快適な温度は?

    今度は逆にPMVが丁度0になる温度を探してみます。この場合も室温と平均放射温度は同じになることにします。すると、

    座っている状態の場合:26.7℃
    軽く歩いている状態の場合:22.6℃

    何と、座っている状態であればCOOLBIZの推奨温度から1℃程度下げるだけでPMVは快適になるのですが、歩いていたり少し作業をするとかなり温度を下げなければPMVを0にすることは出来ません。

    夏場、家事などをしていて暑さを感じてしまうのは、何とかしたいものです。とはいえ、座っている人と何か動作を行っている人は、同じ時間にLDKにいる可能性が高いので、簡単に温度を調整することは難しそうです。

    家事などをしていても快適にするには?

    家族のために家事をしている人だけが暑さを感じてしまうのは、どうにかしたいものです。
    それでは、一体どうすればこの暑さを解消することが出来るでしょうか?
    家事をしている人だけ、温度や湿度を変えると言ったことは難しそうです。そこで着目したいのが、風の流れです。最初の想定で、風は殆ど感じることが無いという想定にしていました。ここを少し変えるとどうでしょうか?

    例えば、料理している時(コンロからの熱の暑さは無視します)に料理している人から2m程度離して、扇風機(サーキュレーター)の中くらいの強さの風を当てることを考えます。この場合風速は1.7(m/s)程度となり、PMVが0になります。

    つまり、作業をしている人にとっては、エアコンの温度調整だけでは暑く感じる可能性が高いため、扇風機などで体温を直接落としてやると良いという事になります。

    まとめ

    夏場の場合、エアコンの設定温度以上に室温や平均放射温度が下回ることは実験により少ないことが分かっています。ですので、エアコンの設定温度がより重要となります。

    省エネに配慮するなら:温度設定は28℃が良いでしょう

    PMVを0にする温度:26.5か27℃の設定温度。ただし、料理などの作業をする場合は、扇風機(サーキュレーター)の中程度の風を当てると良い。

    G2の家での生活の参考にしてみて下さい。