外構エクステリアのデザインにおける注意点
家と庭は一つのデザイン
外構とかエクステリアと言えば、以前は建物と別で考えられることが一般的でした。
これは法律上、建物の完成を待ってから外構やエクステリアの工事をした方が色々と都合が良かったことに起因します。
また、建物を建てる技術と外構やエクステリアにおける施工技術は似ているようで異なることから、家を建てる企業とは別に外構やエクステリア専門の企業が存在していることにも起因します。
しかし、近年においては家と庭を一つのデザインとして捉える考え方が主流になりつつあります。
本来は、ランドスケープと言って街全体から建物や外構・エクステリアを考える方が、街並みとしての統一感が出て良いのですが、日本においてはまだそこまでの考え方は浸透していません。
とは言うものの、新たに新築の家を建てる場合であれば外構やエクステリアを纏めた統一のデザインとして捉えた方がより良い出来栄えとなります。
外構やエクステリアを一つのデザインとして捉えた方が良い理由の1つとして、外部で利用する素材などが、家の中の暑さや寒さに影響する点です。
恐らく、この点を十分に理解している外構専門の企業さんは殆どいないのではないでしょうか?
建物が出来た後に全く別の外構業者に依頼した場合、建物の仕様を確認されるという事はほぼ皆無に近いでしょう。つまり、外構の企業は外部のことには詳しいのですが、建物については全く素人に近いといって良い訳です。
ですので、出来る限り外構やエクステリアについても、建物を建ててくれる企業さんに直接依頼し、一つのデザインとして扱って貰った方が良いわけです。
コンクリートを利用した庭には注意
統一的なデザインとするにあたって、いくつが注意が必要です。
最近では、駐車スペースなどでコンクリートを利用するケースが多いです。
車の重量を支えるためには、コンクリートの下に鉄製のメッシュと呼ばれるものを敷いて、重さに耐えられるようにする必要があるためです。
また、オープン外構が流行っているために、外部の道路に砂や砂利などが出ないように全てコンクリートで覆ってしまうケースも多いようです。
しかし、このコンクリートむやみやたらに利用することはあまり望ましくありません。
何故なら、コンクリートは白色に近い色をしていて、太陽からの熱を反射してしまうからです。
このため、コンクリートからの熱の反射を考慮せずにコンクリートを使用すると、夏場家の中に予定外の熱が入ってしまい、暑くなる可能性が高くなります。
これにも、家とコンクリートとの位置関係が大切で、どの方位にコンクリートを設けるのかによっても効果が変わります。
まずは、コンクリートには熱を反射して家の中を暑くしてしまう事があることを知っておきましょう。
テラスにおけるタイルやコンクリート
写真を見て貰いましょう。
テラスにタイルが使用されています。
こちらのタイルもコンクリートと同様に熱の反射が懸念されます。
また、コンクリート同様に熱容量と言うものが高く、タイル自体に熱も溜まってしまいます。
掃き出し窓と呼ばれる、出入りが可能な窓では、反射の他にタイル自体に貯められた熱の影響も受けてしまいます。
こちらも、位置関係や方角によって受ける影響の度合いが違うため、慎重に検討を行ってやる必要があります。
可能であれば、テラス部分にタイルやコンクリートを利用することは避ける方が良いでしょう。
カーポートの置き方にも配慮が必要
こちらも写真を見てもらいましょう。
写真では少しわかりづらいですが、掃き出し窓の前にカーポートが設置されていることが伺えます。
写真だけでは方角やその他の敷地状況が分からないので、これがどのような意図で設置されているのかを特定することは出来ません。
しかし、これが南向きなのだとしたら、この位置関係は望ましくありません。
通常パッシブ設計を意識した場合、太陽からの熱の流入を考えます。
そのため、このカーポートの位置だとそれを大いに阻害してしまっているのです。
もちろん、カーポートの位置関係においても、建物の窓の仕様や方角によっても良い・悪いは変わってきます。
植栽は更に注意が必要
また、エクステリア計画の中で植栽を計画する場合、更に注意が必要です。
植栽には落葉樹や常緑樹などの種類があり、これらの種類を窓との組み合わせで計画することが何よりも大切になります。
植栽は手間がかかるために、敬遠されがちです。
しかし、上手に利用すれば暮らしを豊かにしてくれるものでもあります。
人は太古の昔から植物と共に生きてきました。緑が揺らいでいれば心が落ち着くし、植栽からの香りにも同様の効果があります。
また、植栽の配置によって暑さ・寒さを和らげる効果も発揮できます。
これらは、建物と一体に計画して初めて成り立つのです。
まとめ
以上からみても、外構やエクステリアを単独でデザインすることは如何に合理的でないかが分かると思います。
外構やエクステリアに関しては、建物と一体のものと考えてデザインすることが何よりも重要なのです。
そして、出来れば建物や外構・エクステリアが街並みにも配慮したものであれば、とても良いものとなるでしょう。