窓の使い方で夏の暑さ冬の寒さが変わる!
窓から出入りする熱が最も多い!
冬場に窓に近づくとヒンヤリと冷たい冷気を感じた経験があるのでは無いでしょうか?下図のように1件の家を考えた場合、実は窓から逃げていく熱の量はかなりの割合を締めています。
また、夏場においても窓から入ってくる熱の量は圧倒的に多いのです。経験的には2階の屋根の下がメチャクチャ暑いので、そこから入ってくる熱の量が多いと思いがちですが、実は下図のように入ってくる熱の量は窓からが特に多いのです。
つまり、家の中で夏暑くなく、冬に寒くないように過ごそうとする場合、窓をどのように選ぶのかで、熱の出入り自体をコントロールすることが出来、快適に過ごせるかどうかが変わるのです。
窓サッシの種類はとんでもなく多い
熱の出入りが多い窓ですが、この熱の出入りを少なくして快適に過ごすには、まず選ぶ窓の種類を考えてやる必要があります。
一般的なアルミのガラス窓の場合
従来、窓と言えばアルミの枠にガラスが1枚ハマった窓が殆どでした。
窓を単体で考えた場合、熱の出入りは主にガラスの部分とその周りのサッシ(この場合はアルミ)の部分とで、別々に考えることが出来ます。
従来の窓の場合、面積の広いガラスから逃げていく熱の量と、面積が比較的狭いアルミ部分から逃げていく熱の量とでは、殆ど同じになります。つまり、アルミから逃げていく熱の量はとんでもなく多いのです。 では、アルミ部分やガラス部分から逃げて行く熱の量を抑えるためにはどのようにしたら良いでしょうか?
窓のガラスの種類
ガラスにも種類がたくさんあります。特に熱の出入りを抑えるためには、ガラスを複層(写真)にする方法があります。
従来は単板ガラスといって、一枚のガラスで窓が構成されていましたが、最近では、ガラスが2層、3層になっていて、層を増やせば増やすほど熱の出入りが抑えられます。(最高で5層まで見たことがあります。)
また、2層、3層になるとガラスとガラスの間に隙間が出来ます。通常であればその隙間には空気が入っているのですが、断熱性能を高めるために空気の代わりにアルゴンガスや、クリプトンガスを入れているものもあります。また、ガラスとガラスの間を真空にして高断熱化を実現しているものもあります。一般的には、真空が一番熱を通しにくく、次いでクリプトン、アルゴン、空気の順番となります。
ガラスとガラスの隙間の大きさにも注意が必要です。この隙間は16mmが最適とされていて、これより小さくても大きくても熱を通しやすくなります。
また、ガラスとガラスの間に隙間を作るために入れているスペーサーによっても熱の通りやすさは変わります。樹脂製のものと金属製のものがありますが、これも樹脂製にすると熱が通り難くなります。
また、ガラス自体もフロートガラスというものが一般的な手法で作られたガラスとなりますが、スパッタリングと言う手法で金属皮膜を表面に施したLow-Eガラスと言うものは熱放射を比較的多く反射することが出来ます。
このLow-Eガラスを使い分けることでも熱の出入りがコントロールできます。 ガラスは層数を増やすと値段がかなり変わります。最適な組み合わせを選ぶことが望ましいです。
窓のサッシの種類
ガラスの周りの枠の部分をサッシと言います。従来はここにアルミを使うことが一般的でした。しかし、アルミはよく熱を通すため冬場になると結露を発生させやすく、寒さの原因にもなります。そこで考え出されたのが樹脂サッシといって、プラスチックで出来たサッシです。これであればアルミのような熱を通しやすい状態にはなりません。
また、意外に思われることが多いのですが、サッシの部分が木製であってもプラスチックに近いくらい熱の出入りを防ぐことが出来ます。
近年では、アルミとプラスチックの間の子のような外部側はアルミにして内部をプラスチックにするといったような窓がありますが、これは純粋な樹脂のみのサッシよりも熱を多く通します。
同じ樹脂(プラスチック)のサッシでも、その内部構造によっても熱の通しやすさが変わります。下図のように、空間の区切りが多ければ多いほど熱は通しにくくなります。これは、ガラスとガラスの間の隙間と同様に隙間が大きすぎても小さすぎても熱を通し安くなるため、これを防いだり、角部分の熱の伝わり方を和らげるためです。
更にもっと熱の出入りを抑える手法として、このプラスチックの内部空洞にウレタンの断熱を注入する方法もあります。 ガラスとこれらの枠を組み合わせた、かなり高断熱な窓も存在しますが、これらを的確に組み合わせることもとても大切になります。
窓の正しい使い方
窓には色々な種類があることを紹介しました。しかし、実際のプランにあたってはこれらの窓を的確に組み合わせることが必要になります。
簡単に言うと、冬はなるべく太陽の日射熱を取り入れた方がいいし、夏場はなるべくこれを防いで、屋内が暖かくなるのを防ぐ必要があります。
この両者矛盾したような要求を満たすためには、太陽の動きの性質や実際に窓から入ってくる日射の量などを検討して、どのような性能の窓を採用することが最適なのかを検討する必要があります。 これらを検討して、組み合わせることがパッシブプランとなります。