受付時間 / 9:00〜18:00

資料請求・お問い合わせ

KICOLOG キコログ

KICOLOG キコログ | 大阪で自然素材の注文住宅「kicori」

太陽光発電の初期投資支援スキームがはじまりました

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    家づくりで太陽光発電は必要か?

    これから家づくりをする人にとって、太陽光発電を付けるべきかどうかを悩む人は多いのではないでしょうか。以前は「売電で得をする設備」という印象が強かったかもしれませんが、今はそれだけではありません。
    電気料金の上昇に加え、国全体として再生可能エネルギーの導入を進める流れが強まっており、住宅でも太陽光発電を取り入れる意味が大きくなっています。
    資源エネルギー庁の資料では、2024年度の発電電力量のうち再生可能エネルギーが占める割合は**23.0%で、2010年度の9.5%**から大きく増えたと示されています。

    そのため、「太陽光発電は付けた方が得なのか」という問いも、単に売電収入だけで考える時代ではなくなってきました。今は、買う電気を減らすことや、将来の電気代上昇への備えとして考えることが大切です。
    特に新築時は、屋根形状や方位、断熱性能、省エネ設備と合わせて計画できるため、後から設置するよりも費用が抑えられ、検討しやすいタイミングです。今回の制度見直しは、まさにこうした新築時の検討に強く関係しています。

    FIT制度・FIP制度とは何か

    まず整理しておきたいのが、FIT制度とFIP制度です。
    FIT制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。これにより、発電設備の導入費用を回収しやすくし、普及を後押ししてきました。

    一方のFIP制度は、2022年度から導入された制度で、発電した電気を卸電力市場や相対取引で売り、そのうえで基準価格と参照価格の差額をもとにプレミアムが交付される仕組みです。
    簡単に言えば、FITは「固定価格で買い取ってもらう制度」、FIPは「市場価格に一定の支援を上乗せする制度」と考えると分かりやすいです。

    ただし、一般の戸建て住宅では、「まず自宅でできるだけ使い、余った分を売る」という考え方を押さえておけば十分です。

    2026年度から住宅用太陽光発電はどう変わるのか

    住宅用太陽光発電は、2025年度下半期から始まった初期投資支援スキームが、2026年度・2027年度も続く形となります。

    従来は、調達期間中に同じ価格で買い取るイメージが分かりやすかったのですが、今回新たに始まった初期投資支援スキームとは、最初の数年間の価格を高くし、その後の価格を下げる「階段型」になりました。これは、導入初期の投資回収を早めやすくするためです。

    つまり、これから新築する人にとっては、「ずっと高く売れる制度」ではなく、導入後しばらくの回収を重視した制度に変わったと理解するとよいでしょう。

    住宅用太陽光では、2025年度下半期認定分以降、1~4年目は24円/kWh、5~10年目は8.3円/kWhとなります。最初の4年間を手厚くし、その後を低めにする設計です。

    <参考>再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等

    この仕組みは、特に新築時に住宅ローンと合わせて太陽光を導入したい人と相性がよいと考えられます。最初の数年間に売電収入を得やすくなることで、導入直後の負担感を抑えやすいためです。
    ただ、実際の採算性は、設置費用、屋根の向きや大きさ、影の有無、自家消費できる割合によって変わります。

    初期投資支援スキームのメリット

    太陽光発電を新築時に設置するメリットの一つは、導入初期の家計負担を考えやすいことです。今回の初期投資支援スキームでは、運転開始後の早い段階で高めの単価が設定されているため、従来よりも投資回収の見通しを立てやすくなっています。資源エネルギー庁のリーフレットでも、メリットとして投資回収年数の短縮が示されています。

    また、新築時なら住宅ローンと合わせて検討しやすく、配線計画や屋根計画も含めて無理なく組み込みやすいという利点があります。

    蓄電池やお湯を貯めることのできるエコキュートの有無によって考え方も変わります。蓄電池やエコキュートがあれば、昼間に発電した電気を夜間に回しやすくなり、自宅で発電する電気の消費する割合を高められる可能性があります。

    気をつけたいポイント

    一方で、注意すべき点もあります。まず、今の住宅用太陽光は、以前のように「売電で大きく儲ける設備」として考えるのは適切ではありません。
    一般の住宅では余剰買取が基本なので、主役はあくまで自家消費です。売電収入は重要ですが、それだけで判断するべきではありません。

    また、住宅の断熱性能、屋根の向きや角度、面積、周辺建物や樹木の影の影響は非常に大きいです。南向きで十分な面積が取れる家と、設置条件が厳しい家では、同じ制度でも発電量が大きく変わります。

    加えて、長く使う設備である以上、パワーコンディショナの更新や点検など、将来の維持費も視野に入れる必要があります。新築時に導入するなら、初期費用だけでなく、10年後、15年後も含めて考えておく方が安心です。

    実際にどの程度の期間で回収できるのかは、ある程度予想も可能です。

    再エネ賦課金から見る、これからの電気代との付き合い方

    太陽光発電を考えるうえで、再エネ賦課金も無視できません。経済産業省の公表では、2026年度の再エネ賦課金単価は1kWhあたり4.18円です。
    月400kWh使う一般家庭モデルでは、月額1,672円、年額20,064円の負担目安とされています。適用期間は、2026年5月検針分から2027年4月検針分までです。

    資源エネルギー庁のガイドブックで、FIT制度で買い取られる再生可能エネルギー電気の費用は、電気使用者から広く集められる再エネ賦課金でまかなわれると説明されています。
    つまり、私たちは毎月の電気料金の中で、すでに再エネ導入の費用を負担しているわけです。

    このように考えると、太陽光発電は単なる売電設備ではなく、将来にわたり買う電気を減らすための家計防衛設備として見る方が実情に合っています。
    自宅で使う電気の一部を自分でつくれれば、電気料金そのものだけでなく、使用量に応じてかかる賦課金の影響も受けにくくなります。

    まとめ

    今回の制度改正で押さえておきたいのは、住宅用太陽光発電が、従来のような一律単価ではなく、初期投資支援スキームによって導入初期の回収を重視する制度設計になったことです。
    住宅用太陽光では、2026年度も2025年度下半期と同じく、1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWhという階段型の価格設定が採用されています。

    この仕組みは、新築時に太陽光発電を取り入れる価値を高めています。
    これからの家づくりでは、太陽光発電だけを単独で考えるのではなく、断熱性能、省エネ設備、太陽光発電を一体で考えることが重要です。
    電気代が気になる時代だからこそ、住宅そのものの性能を高め、そのうえで必要なエネルギーを自宅でまかなう発想が、より現実的な選択になっていくはずです。