ペアガラスとトリプルガラスの違い
最近の住宅では、新築の4件に1件は樹脂の窓となっており、窓を樹脂とすることが増え続けています。今から家を建てるのであれば、窓を樹脂とすることは必須と言えます。
ただ、同じ樹脂にするためにも種類がいくつかあります。
遮熱優先か?断熱優先か?
ガラスはペア(2重)かトリプルか(3重)?
など、いくつかの選択肢があります。
ここでは、主にガラスをペアにした場合とトリプルにした場合の違いを説明します。
当然、4重、5重としたガラスもありますが、殆ど普及しておらず実際にはあまり使われていません。
はじめに:ペアガラスとトリプルガラスって何?
窓ガラスの基本:ペアガラスとトリプルガラス
まずは、ペアガラスとトリプルガラスの違いについてです。
その名の通り、ペアガラスは2枚のガラスで構成されていて、トリプルガラスは3枚のガラスで構成されています。
基本的にこの2種類の違いは、断熱・遮熱性能の違いです。3枚の方が断熱性能・遮熱性能が共に高くなります。もちろんガラスが多い分、値段も高くなります。
ペアガラスとトリプルガラスの違いを取り上げるのは、この性能面と価格面の両方について、最も大きな違いがあるからです。
ペアガラスとは:基本を知ろう
ペアガラスの構造とは?
ペアガラスの場合、ガラスが2枚になっています。このガラスとガラスの間には、通常の空気が入っている場合とアルゴンガスが入っている場合があります。(以前はクリプトンガスが入っている場合もありましたが、世界の殆どのクリプトンガスをウクライナで生産していたため、現在は入手が困難となっていいます。)アルゴンガスは熱を通しにくい性質をもっており、アルゴンガスが入っている場合の方が窓としての断熱性能は上がります。
また、ガラスとガラスの距離も工夫されていて、16mm程度の間隔が空いていると最も断熱性能が高くなります。このため、ペアガラスでも窓としては分厚い感覚となります。
また、Low-Eと言う金属皮膜をガラスに付与することで日射を防ぐ性能が高くなります。
このLow-Eは家の内側のガラスにつけるのか、外側につけるのかによっても異なります。
トリプルガラスとは:もう一歩進んだ窓ガラス
トリプルガラスの構造と特徴
トリプルガラスの場合、ガラスが3枚になっています。この3枚のガラスとガラスの間には、通常の空気が入っている場合とアルゴンガスが入っている場合があります。アルゴンガスは熱を通しにくい性質をもっており、アルゴンガスが入っている場合の方が窓としての断熱性能は上がります。
ガラスとガラスの間隔もペアガラス同様、16mmとすれば最大の断熱効果が得られます。そのため、3枚それぞれの間に16mmのスペースを設けると、それだけで32mmものスペースが必要となり、非常に分厚いと感じます。
また、ガラスが3枚あることによって、重量も大きくなります。
熱効率の違い:冬の暖かさ、夏の涼しさを比べてみよう
ペアガラスとトリプルガラスの断熱性能
カタログ上の断熱性能の違いは、トリプルガラスに比べストペアガラスの窓は1.5倍程度熱を通しやすくなります。しかし、1.5倍と言われてもあまりピンとこないと思います。そこで、実際に建てた住宅において、寒い冬に計測した事例を紹介します。
計測したのは大阪の真冬で外の温度が5~7.2℃程度の夜です。
2階のバルコニーに出る扉がペアガラスとなっていて、その隣の吹抜けの窓がトリプルガラスとなっている建物です。この時の実際の表面の温度を計測しました。この時の室内の温度は約20℃程度です。
ペアガラスの方で計測すると、その表面の温度は15.5℃と部屋の温度から5℃近く低い状態になっていました。
これに対して、トリプルガラスの窓の場合はその表面温度が19.5℃と、室温と比べても殆ど差のない状況となっていました。
つまり、ペアガラスであれば室温との差が大きくなり、トリプルガラスであれば殆ど室温との差が無くなるのです。
これには大きな違いが出てきます。
「暖房では実現できない、高断熱住宅ならではの快適性」で解説していますが、窓の温度が室温よりかなり低いという事は、体感温度がかなり下がるという事です。
これに対して、窓の温度と部屋の温度が殆ど変わらないという事は、体感温度は殆ど室温と同様に感じるという事です。
ペアガラスとトリプルガラスの違いはここに大きな違いがあるのです。
体感温度は実際の寒さに直結する温度です。室内の温度はペアガラスでもトリプルガラスでも大差なくすることが可能ですが、この体感温度には常に違いが出てきてしまいます。
ですので、より快適に暮らしたい場合は必然的にトリプルガラスを選ぶことが望まれます。
まとめ
せっかく高断熱住宅にするのであれば
窓は住まいの快適性を大きく左右する重要なパーツです。
トリプルガラスとペアガラスの違いは、初期に掛かるお金とその後の住まいの快適性の違いに出てきます。
初期に掛かるお金は窓の枚数や大きさによって変わります。
ですので、一概に金額を提示することは難しいのですが、冬場の快適性に関して言うと数値で表すことは不可能です。この言葉では表現し難い快適性は何物にも代えられません。
例えば、冬場になると寒さが原因で億劫になる事や、寒さが気になって集中力が途切れると言ったことも無くなることを考えたら、その価値は計り知れないのではないでしょうか?
窓を選ぶ際の参考として下さい。