Warning: Trying to access array offset on null in /home/panda/kicori.co.jp/public_html/contents/plugins/seo-settings/lib/module/class.ogp-image.php on line 43

受付時間 / 9:00〜18:00

資料請求・お問い合わせ

KICOLOG キコログ

KICOLOG キコログ | 大阪で自然素材の注文住宅「kicori」

注文住宅は、これからも高くなる?

太田(健康・高断熱住宅専門家) 太田(健康・高断熱住宅専門家)

Contents

    物価・建材・住宅ローン金利と米国・イラン戦争から考える住宅価格の今後

    注文住宅の価格は、ここ数年で大きく上昇しました。現在は、米国とイランの戦争によって原油価格や国際輸送に新たな上昇圧力が加わっています。
    「今は一時的に高いだけで、戦争や資材不足が落ち着けば、住宅価格も以前の水準に戻るのではないか」
    と考える人もいるでしょう。

    今回は、過去約20年間のデータと現在の国際情勢を基に、注文住宅に必要な資金が今後どうなるのかを考えます。

    日本の物価は2012年頃を底に上昇へ転じた

    日本では、1990年代後半から長期間にわたり、物価がほとんど上がらない時代が続きました。
    世界銀行の消費者物価データを使い、2005年の物価水準を100として計算すると、日本の物価は2012年頃に最も低い水準となっています。

    2012年の指数は約99.3でしたが、2025年には約117.6となりました。物価が最も低かった2012年頃と比べると、現在の物価水準は約18%上昇しています。
    もちろん、2012年以降、毎年一直線に上昇したわけではありません。2016年や2020~2021年には小幅な低下もありました。
    それでも長期的には、2012年頃を底として物価が上昇する時代へ変わったことが分かります。一方、米国や世界全体では、日本よりも以前から物価上昇が続いています。

    【日本・米国世界の物価水準比較】

    2005年を100とすると、2024年の物価水準は、日本が約114、米国が約161、世界全体が約198です。世界全体では、約20年間で物価がほぼ2倍になっています。
    日本の「物価が上がらない時代」は、世界的に見れば例外的でした。今後の住宅計画では、物価が下がることよりも、少しずつ上昇することを前提に考える必要があります。

    米国・イラン戦争で物価上昇のリスクが高まっている

    2026年7月現在、米国はイラン国内への軍事攻撃を継続し、イランも米軍基地や船舶などへの攻撃を行っています。ホルムズ海峡や紅海周辺では船舶の通航が減少し、原油価格は上昇しています。
    ホルムズ海峡は、中東の原油や液化天然ガスを世界へ運ぶ重要な航路です。ここで船舶の通航が滞ると、原油そのものだけでなく、船舶保険料、輸送費、電力・ガス料金、石油化学製品の価格にも影響します。

    住宅に使われる断熱材、樹脂サッシ、塗料、接着剤、防水材、配管、住宅設備の部品などにも、石油や天然ガスを原料とする製品が多くあります。鉄鋼、アルミ、セメント、ガラスの製造にも大量のエネルギーが必要です。
    したがって、原油価格の上昇は、少し時間を置いて建材価格や輸送費へ波及します。

    ただし、戦争によって上昇した価格が、そのまま永遠に上がり続けるとは限りません。
    実際、2026年6月には一時的な停戦によって原油の流通が回復し、原油価格は急低下しました。しかし、その後に戦闘と船舶攻撃が再び激しくなると、価格は再上昇しています。

    今後も、停戦や備蓄放出によって原油・建材価格が一時的に下がる可能性はあります。
    しかし、それは「以前の物価水準に戻る」という意味ではありません。急騰した価格の一部が調整されるだけで、人件費や輸送費、エネルギー費を含む価格全体は、急騰前より高い水準に残る可能性が高いと考えられます

    建材価格は一時的に下がっても、以前の水準には戻りにくい

    住宅価格を考える場合は、一般的な消費者物価だけでなく、住宅に使われる建材価格を見る必要があります。物価は2012年に底を迎えていました。建材はどうなっているでしょう。

    日本銀行の企業物価指数を見ると、2020年を100とした2025年の指数は、従来窓に多く利用されてきたアルミニウムサッシが132.7、断熱材として利用されることの多い硬質プラスチック発泡製品が137.8です。わずか5年間で、アルミサッシは約33%、発泡系断熱材は約38%上昇しています。

    【アルミ窓・断熱材の価格指数】

    基礎に利用される生コンクリートも、2019年の約96から2025年には約147まで上昇しました。

    木材については、2021~2022年のウッドショックで急騰した後、価格が下落しています。しかし、ピーク時より値下がりしたからといって、以前の価格に戻ったわけではありません。集成材は2025年時点でも、2020年より約48%高い水準です。

    【コンクリート・木質資材・合板の価格指数】

    住宅設備も同じ傾向です。2020年から2025年にかけて、衛生陶器は約22%、給湯機や温水洗浄便座は約15%上昇しています。

    【住宅設備の価格指数】

    住宅において、最も大きな人件費を要する大工手間代も、2020年の100から2025年には107.8へ上昇しました。

    【大工手間代の価格指数】

    このように見ていくと、住宅資材においても2012年以降は価格が上がり続けていることが分かります。今後、戦争の停戦や需要低下によって、木材や金属、原油関連製品が一時的に値下がりする可能性はあります。しかし、資材価格が少し下がっても、賃金、社会保険料、物流費、燃料費、設備投資費まで同時に以前の水準へ戻る可能性は低いでしょう。

    住宅ローン金利も上昇局面に入っている

    住宅購入に必要な資金は、建物価格だけでは決まりません。住宅ローン金利が上がれば、建物価格が変わらなくても、毎月返済額と総返済額は増加します。
    民間銀行の変動型住宅ローンの店頭表示金利は、長期間2.5%前後でほぼ変化しませんでしたが、2025年には約2.9%へ上昇しました。固定10年の店頭表示金利も、2021年頃の約3.3%から、2025年には約4.35%まで上昇しています。

    フラット35についても、超低金利期と比べると金利は上昇しています。

    住宅金融支援機構の2026年1月調査では、日本銀行の利上げなどを受けて、住宅取得予定者の約7割弱が、借入額の減額、返済期間の短縮、固定金利への見直しなど、住宅ローン選択を変更したと回答しています。

    今後の住宅ローン金利は一直線に上がるとは限りませんが、かつての超低金利へ簡単に戻ることも期待しにくい状況です。

    住宅価格の値下がりを待つことにもコストがある

    住宅を購入する時期について、「今は価格が高いので、もう少し待てば安くなるのではないか」と考える人もいるでしょう。しかし、住宅価格は長期的に上昇しており、購入を待つこと自体にもコストが発生します。

    国土交通省が公表している全国の戸建住宅の不動産価格指数は、2010年平均を100とすると、2025年12月には121.9まで上昇しています。約15年間で約22%の上昇であり、年率に換算すると約1.33%です。
    つまり、住宅の購入を数年間先送りした場合、住宅ローンを組む時期が遅くなるだけでなく、購入する住宅そのものの価格も上昇している可能性があります。

    ただし、住宅価格の上昇による影響を考える前に、まず住宅ローン金利の違いだけで、総返済額がどの程度変わるのかを確認しておきます。

    【3,500万円を35年返済した場合の金利別総返済額】

    まず、現在3,500万円を借り、35年間の元利均等返済を行う場合を考えます。

    金利1%:毎月返済額は約9万9,000円、総返済額は約4,150万円
    金利2%:毎月約11万6,000円、総返済額は約4,870万円
    金利3%:毎月約13万5,000円、総返済額は約5,657万円

    同じ3,500万円を借りても、金利が1%から3%へ上昇すると、総返済額は約1,507万円増加します。住宅価格だけでなく、金利の違いも住宅取得に必要な資金を大きく左右することが分かります。

    次に、現在3,500万円の住宅をすぐに購入せず、5年間待つ場合を考えます。
    戸建住宅価格が過去15年間と同じ年率約1.33%で上昇すると仮定すると、現在3,500万円の住宅は、5年後には約3,739万円になります。

    つまり、建物や土地の内容が変わらなくても、必要な資金が約239万円増える計算です。

    【住宅価格上昇を加味した「今すぐ購入」と「5年後購入」の総返済額比較】

    金利が同じままと仮定しても、
    金利1%:総返済額が現在購入の約4,150万円 → 5年後 約4,433万円
         待つことによる増加額は約283万円です。

    金利2%:約4,870万円 → 約5,202万円、 差は約332万円

    金利3%:約5,657万円 → 約6,043万円、差は約386万円

    これは、5年後も現在と同じ金利で借りられると仮定した比較です。
    実際には、住宅価格が上昇するだけでなく、住宅ローン金利も上昇する可能性があります。
    たとえば、現在は金利1%で借りられる人が、5年間待った結果、住宅価格が上昇し、金利も2%になれば、総返済額の差はさらに大きくなります。

    もちろん、住宅価格が毎年必ず1.33%上昇するとは限りません。景気後退や住宅需要の減少によって、一時的に価格が下がる地域や住宅もあるでしょう。

    また、国土交通省の戸建住宅価格指数は、注文住宅の建築費だけを示したものではありません。土地や中古住宅を含む戸建住宅の取引価格を全国的に指数化したものです。

    したがって、今回の計算は将来の住宅価格を保証する予測ではなく、過去と同程度の価格上昇が続いた場合に、購入を待つことがどの程度の負担増になるかを示す試算です。

    それでも、建材価格、人件費、住宅設備価格が上昇し、住宅ローン金利も上昇局面にあることを考えると、住宅価格が大幅に下がるまで待つ戦略には相応のリスクがあります。

    価格が一時的に下がることはあっても、上昇した建材費や人件費がすべて以前の水準に戻る可能性は高くありません

    そのため、安定した収入があり、家族構成や居住地がある程度決まり、無理のない返済計画を立てられる家庭では、住宅価格の値下がりを待つよりも、早めに住宅ローンを組む方が、結果的に有利になる可能性があります

    ただし、「値上がりする前に急いで買うべき」という意味ではありません。
    購入時期を判断するうえで最も重要なのは、将来の値上がり予想ではなく、現在の収入で無理なく返済を続けられるかどうかです。
    教育費、老後資金、修繕費、固定資産税なども含めて家計を確認し、そのうえで購入できる状態が整っているのであれば、値下がりを期待して何年も待つより、現在の価格と金利で住宅取得を進める方が合理的である可能性が高いでしょう。